<イスラム国(IS)とは>

主にイラクとシリアで活動するイスラム教スンニ派の過激派組織です。
2014年6月29日にアブー・バクル・アル=バグダーディーによりイスラム国家の樹立が宣言され、 「イラクとシャームのイスラム国」(略称:ISIS)から改称されました。 イスラム国はラッカを首都とし、一般市民に税金を納めさせたり各省庁を置き警察組織を持っていたりと国家としての体裁を整えつつあります。
インターネットを積極的に使って宣伝活動を行い、世界約80か国から外国人戦闘員が参加しているのもイスラム国の特徴です。

イスラム国はイスラム教スンニ派の「カリフ」という宗教的な指導者によって統治されるイスラム国家の樹立を目標に掲げており、 アブー・バクル・アル=バグダーディーは新しいカリフを自称し世界中のスンニ派イスラム教徒に忠誠を求めています。


左:イスラム国の旗     右:2014年10月20日現在の支配領域
(出典:wikipedia)



<世界を震撼させるイスラム国の脅威>

イスラム国はシリアの油田の一部を制圧し石油を密輸したり、支配地住民への略奪や課税、誘拐による身代金、 個人や団体からの寄付によって潤沢な資金を得ています。 またプロの軍人やイスラム政権関係者も参加しており、戦闘能力が向上し洗練された軍事力を持っています

2014年8月にはシリアの空軍基地を制圧しシリア兵約500人をとらえ、このうち少なくとも160人を処刑したことが発表されました。 また、拘束していた米国人ジャーナリストが処刑されインターネット上に動画が投稿されました。 イスラム国の支配に抵抗し従わなかったものは、女性や子供を問わずに相次いで殺害し公開処刑することで、 対抗する勢力の恐怖心をあおり戦闘を有利に進める狙いがあるとみられます。
このようなイスラム国の極めて凶悪な行為は世界を震撼させ、かつてない脅威となっています。

(米国人ジャーナリスト処刑の様子)




<アルカイダとの関係>

ISISの母体はイラク戦争(2003年)後に結成されたアルカイダ系過激派組織であるとみられます。 他の組織と離合集散しながら「イラク・ムジャーヒディーン評論会」、「イラク・イスラム国」と改称され2011年以降のアラブ諸国の混乱に乗じて活動を活発化させました。 シリアとイラクを股にかけて武装闘争を展開していき、2013年に「イラクとシャームのイスラム国」となりました。
その後も勢力を拡大しイスラム国家樹立を前面に押し出すようになり、アルカイダとも絶縁状態となっています。 アルカイダは兵士だけでなく民間人も巻き込んで残虐な行為を行うイスラム国とは一切の関係がないと宣言しており、 イスラム国のシーア派に対する残虐で無差別な攻撃はアルカイダからも批判されています。



<日本とイスラム国>

イスラム国の脅威はイラク・シリアだけの問題ではありません。イスラム国は全世界の若者にインターネットなどを用いて協力を呼び掛けています。
シリア北部で日本人ジャーナリストの湯川遥菜さんが拘束されインターネット上で尋問を受けている様子とされる写真や動画が公開されました。
また、秋葉原でイスラム国につながる張り紙が張られていたことで戦線に加わろうとしていた日本人学生が、警視庁に事情聴取を受けた事件がありました。 警視庁はイスラム国渡航を阻止するため私戦予備・陰謀罪を適用しましたが、日本人戦闘員を今後どのように防ぐのかは大きな課題となっています。
国連安全保障理事会は、危険思想や戦闘技術を身につけた戦闘員が帰国しテロに及ぶことを懸念し、 外国人戦闘員への処罰を加盟国に義務づける決議を首脳級特別会合で採択しました。

(イスラム国兵士)




<海外の対応は?>

アメリカのオバマ政権は8月中旬、イスラム国への限定的な空爆に踏み切りました。 しかし、状況の改善には至らず事態はさらに深刻化することとなりました。 オバマ大統領は国連でイスラム国を壊滅させると演説し各国に有志連合参加を呼びかけました。 有志連合は、イスラム国に対し問題はすぐに解決できるものではなく、長期的な戦いにおいて団結していると強調しています。
オバマ大統領はアメリカの主導でイスラム国に対し国際的な包囲網を作ること、イスラム国への至近や外国人戦闘員の流れを断ち切ることを 戦略としイスラム国に立ち向かおうとしています。また、イスラム国によって追われた無実の人々に対する支援を行うことも考えているとみられます。
カナダでは、2014年11月イスラム国の拠点を初めて空爆し、テロの脅威に立ち向かうカナダ政府の決意を示しました。
また約44か国が、イスラム国による海上の油田施設などへの攻撃を警戒して、不審船を制圧する訓練に参加しています。
イスラム国の壊滅には、関係各国が挙国一致の体制で足並みをそろえて対応しなければならないでしょう。





参考:Wikipedia、コトバンク、NHK解説委員室、GLOBALINNOVATIONnavi、産経ニュース