名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ブログ「天白で有機化学やってます。」 ブログ「天白で有機化学やってます。」

「大学全入時代」に大学に行く意味2022/11/24(木)

入試シーズンです。大学の推薦入試を受ける方は、ただいま準備の真っ最中でしょう。一般入試を受ける方は、1月の共通テストを見据えて追い込みにかかっているところと思います。

さて、東洋経済オンラインに、下の記事が掲載されていました。

筆者の安井元康氏は、同誌で「非学歴エリートの熱血キャリア相談」という連載を持っておられます。やさしい(優しい・易しい)語り口で本質を突く指摘をされることが多く、私は愛読しています。

今回の相談者は、「大学全入時代で大学を卒業することの価値は何なのか?」と悩む受験生の方です。安井さんは、この相談者に対して、大学に行く価値として、次のように語っておられます。

  • 一般教養を含めさまざまな学びと経験を積んで将来進むべき道を探る。
  • 「ドアノック効果」、つまり進みたい進路に入るための「ドアをノックできる確率」を上げる。

その上で、次のように断言されます。これはとても大事な視点です。

人生において何かを有利にするために大学に行ったり、「とりあえず大学だけは行っとこう」みたいなノリで行ってもまったく意味はありません。

(中略)

つまりただ通っただけではダメで、ただ卒業しただけではダメなのです。そこで何をして何を学び、どう成長したか、が問われるのです。

「ドアノック効果」だけを考えれば、名の通った大学の卒業資格を得れば、とりあえずドアをノックさせてもらえる確率は上がるでしょう。でも、何となく大学に通って卒業した「だけ」の人であれば、その後の選考過程で、薄っぺらさが露呈してしまい、採用に至らないことが多いはずです。採用してもらえる会社に入っても、「何となく仕事をしている」だけの社会人になってしまう可能性は高いでしょう。

この先行き不透明な時代では、「何となく仕事をしている」人が多い会社は存続が難しくなります。自然と、そういう人は淘汰されていくことになります。つまり、「何をして何を学び、どう成長するか」は、学生時代だけではなく、人として生きる限りずっと保ち続けないといけない姿勢になっていきます。

高校までの学校生活では、自由度がそれほどありません。大学での学生生活は、「何を学び、どう成長するか」を自分で考えて実行する大きなチャンスなのです。これから大学を目指す人は、このチャンスをつかむことを目標にしてほしいし、すでに大学に入学した人は、そのチャンスを生かすことを目標にしてほしい。

本学の教員として正直なところを言うと、1年生の間はまだ「何を学ぶか」をこちらから与えてあげないと前に進めない人が多いなと感じます。でも、どこかで突き放さないといけません。今ちょうど1年後期の講義を担当しているので、突き放すタイミングを測っているところです。

名城大女子駅伝部6連覇2022/10/31(月)

昨日の全日本大学女子駅伝で、本学の女子駅伝部が優勝。これで6連覇となりました。おめでとうございます!

ここ数年は、全国の有力選手が名城大学に集まってきて、他大学との実力差が顕著になってきた、と報じられています。この状況について、「面白くない」とか「女子陸上競技の将来にとってよくない」などという声もあるようです。こういう声について、少し思うところがあります。

学生競技は、確かに競技者を育てるという面もあるのですが、それ以上に個々の人を育てることが目的でしょう。学校は教育機関なのですから。もちろん、注目されることは大事なことだし、見てくれる人がいるからこそスポンサーがついてくれる、という面があるのは否定しません。けれども、一番大事なのは「ちゃんと人を育てているのか」というところです。「面白くない」というのは、学生の将来に責任を持たない「消費者」としての感想でしかありません。見る人がそういう感想を持つのは自由ですが、学生本人やご家族や指導者はそんな声を聞く必要はまったくないと思います。

以前から、有力選手がなぜ名城大学を選んでくれるのか、そのわけを知りたいと思っていました。朝日新聞社のデジタルメディア「4years」に、今年引退した高松智美ムセンビさんのインタビュー記事が載っていました。高校で競技はやめようと思っていたが、「楽しそうな雰囲気、オン・オフがしっかりある、先輩たちともコミュニケーションがとれた」名城大を選んだこと。外国語学部で勉強についていくのが大変だったこと。コロナ禍の間、監督の方針で、「初めて自分で考えて」後輩たちと練習したこと。最終学年を前にして自分の意志で就職活動を始めたこと。一人の学生としての成長の過程がよく見えるし、それを後押しできる環境があるのだと感じました。

昨日のテレビ中継の中で、女子駅伝部の米田監督が「世界で通用するランナーを育てていきたい」と抱負を語っておられた、と紹介されていました。もちろんそれは素晴らしいことですが、あくまでも「一人の人間としての成長」の延長線として、「世界で通用するランナーになる」ことであってほしいと思います。自己決定権は大事です。それを大切にしながら、競技でも結果を出していく女子駅伝部はすばらしい。駅伝部だけでなく、あらゆる部門で、学生個人の成長をサポートできる大学でありたいと思っています。(そして結果も出したい)

研究室のファイルサーバが壊れた2022/10/24(月)

研究室のファイルサーバとして使っていた QNAP の TS-110 が、急に壊れてしまいました。ハードディスクというのは突然壊れるものなので、バックアップからデータを救出して復旧しようとしたのですが、なぜか数日前のものしかなくて、直近の1週間ほどのデータが飛んでしまいました。バックアップを週末だけの設定にしてたんかな……?

復旧させるには、(1) バックアップから大部分のデータを救出する、(2) TS-110 内蔵のハードディスクをなんとか復活させて、そこから直近のデータを救出する、という手順が必要です。ちょっと頑張りました。

QNAP の中身は Linux OS がベースで、ファイルシステムは ext4 です。Mac で読めないこともないのですが、壊れたディスクの修復は Linux 上でないと無理でしょう。計測装置の開発で買った Raspberry Pi 3 が1台余っていたので、これを使いました。

まず、最新の OS をインストールします。Debian 11 (Bullseye) ベースです。Raspberry Pi Imager というものを使えば、コマンドを一切打たなくてもインストールできます。Mac にカードリーダー経由で 16 GB の microSD を接続して、そこに OS を書き込みます。初期のラズパイに比べるとずいぶん楽になりました。

microSD をラズパイに装着して電源を入れ、初期設定を行います。5インチの HDMI 接続液晶を使っています。字が小さくて読むのが辛いけど頑張ります。キーボードとマウスのでかさがアンバランスで、なんだか笑えます。

手元にあったバスパワーの USB ハードディスクを接続します。電源容量が足りるかどうか心配でしたが、大丈夫だったようです(電源が足りないと、画面に稲妻マークが出ます)。バックアップ用に使っていたハードディスクも接続します。これは別途電源があるので問題ありません。

バスパワーのハードディスクを ext4 で初期化します。やり方は「Raspberry Pi ext4 フォーマット」あたりで検索してください。GUI でやる方法もあるはずですが、私は Mac から SSH でつないでコマンドラインでやっています。

ラズパイを再起動すると、バックアップ用に使っていたハードディスクと、新しくフォーマットしたバスパワーのハードディスクがそれぞれ認識され、マウントされました。ファイルを rsync でコピーします。

#!/bin/sh
echo '==== rsync_HDD started at ' `date` >/home/nagata/rsync_HDD.log
rsync -a -v -8 /media/nagata/be1e0a9d-d5e7-451a-bf28-5047bbca913b/homes/ /media/nagata/e69bb182-5d22-4739-a9ee-edf9e7ffd436/homes >>/home/nagata/rsync_HDD.log 2>&1

/media/nagata に続く英数字の列は、たぶん何かの識別番号なのでしょう。これが実際のマウントポイントになっています。上の内容を rsync_HDD.sh として保存しておき、以下のコマンドで実行します。6時間ぐらいかかりましたが、無事終了しました。

$ sudo nohup sh rsync_HDD.sh &

問題は、TS-110 に内蔵していたハードディスクの方です。TS-110 からハードディスクの本体を取り出して、外付けディスクのケースに入れ、接続してみましたが、マウントされません。fsck をかけてみると、Bad magic number in super-block while trying to open ... というメッセージが出ました。"fsck bad magic number superblock" などで検索して、以下のコマンドで修復できるかもしれない、という情報を得ました。

$ sudo mkfs.ext4 -n /dev/sda1
...
Superblock backups stored on blocks:
32768, 98304, 163840, 2294912, 294912, 819200, 884736, 1605632
$ sudo fsck.ext4 -b 32768 -B 4096 /dev/sda1

ダメもとでやってみたところ、マウントできるようになりました! しかし、動作が鈍くて、完全故障が迫っていることは明らかです。先ほどと同様の rsync で、「バックアップされていなかった」ファイルをバスパワーのハードディスクにコピーします。いくつかアクセスできないファイルがありましたが、大部分は救出できました。

新しい QNAP が来るまで、このラズパイをサーバにして運用することにしました。Samba を設定します。

$ sudo apt-get install samba
$ sudo cp /etc/samba/smb.conf /etc/samba/smb.conf.original
$ sudo nano /etc/samba/smb.conf
...
browseable = no  #  [print$] セクションの中
...
[home]
comment = NagataGroup Home
path = /media/nagata/be1e0a9d-d5e7-451a-bf28-5047bbca913b/homes/nagatagroup
force user = nagata
valid users = nagatagroup
browseable = no
create mask = 0666
directory mask = 0777
dos filetimes = yes
guest ok = no
read only = no
...
$ sudo systemctl restart smbd

QNAP に入っていたハードディスクは廃棄し、今までバックアップに使っていた外付けハードディスクをメインに、バスパワーのディスクをバックアップ用にします。1日1回 cronrsync を回します。(rsync_HDD.sh の中身は、「外付けハードディスク→バスパワーディスク」のコピーになるように書き直しています。)

$ sudo crontab -e
...
# m h  dom mon dow   command
0 2 * * * sh /home/nagata/rsync_HDD.sh

メモ:本をスキャンしたデータから PDF を作る2022/10/13(木)

単行本を図書館で借りてきて、手元に PDF でコピーを残しておきたいとします(当然個人利用に限定)。スキャナの機種にもよりますが、まあだいたいこういう2ページごとのデータになりますね。私の使っているエプソンのスキャナでは、EPSON001.PDF, EPSON002.PDF, ... という連番の PDF ファイルになります。

ここから1ページごとの「普通の」PDF にしたいのです。ツールを書くほどでもないので、ImageMagick を使ってコマンドラインでやってしまいます。

まず、PDF を画像データに変換します。

$ for i in `seq -f %03g 1 23`; do convert -density 400x400 -type Grayscale -colors 256 EPSON$i.PDF -geometry 50% -rotate +90 EPSON$i.png; done

スキャナの解像度は 200 dpi なのですが、200 dpi で png にするとギザギザの「白黒」画像になってしまいます。そこで、400 dpi でサンプリングした後、半分に縮小しています。また、-rotate +90 で画像を上向きにします。

1ページごとに切り出します。ここで jpg に変換しました。画質 (quality) はあまり下げると見苦しいので、まあ 60% ぐらいでしょうか。

$ for i in `seq -f %03g 1 23`; do convert EPSON$i.png -crop 1168x1653+0+0 -quality 60 EPSON$i-1.jpg; convert EPSON$i.png -crop 1168x1653+1168+0 -quality 60 EPSON$i-2.jpg; done

全部まとめて1本の PDF にします。45ページのPDFで、9 MB ぐらいになりました。ちょっとでかいな。

$ convert EPSON???-?.jpg EPSON001-out.pdf

最初のページは前の章なので、プレビュー.app で削りました。

FD学習会「アクティブラーニング型授業としての反転授業」2022/09/20(火)

大学教育開発センターの企画で、Zoom学習会「アクティブラーニング型授業としての反転授業」を受講しました。講師は芝浦工業大学工学部・機械工学科の角田和巳先生です(研究室ウェブサイト)。以前から反転授業には関心があったのですが、今回は「大学の理工系学部」での教育実践についてお話しいただき、得るところがいろいろありました。

一般的に「反転授業」と言えば、事前に予習課題を与えておき、教室ではグループワークやディスカッションを中心に学習内容の定着を図る、というスタイルを指します。学習者から見れば、予習課題を学ぶのは「インプット(入力)」の作業で、グループワークやディスカッションは「アウトプット(出力)」の作業です。出力作業の時間を十分に取ることで、学習内容がより定着するのではないかというのが、反転授業の基本的な考え方です。

理工系の科目で反転授業を採用するとき、「インプット」と「アウトプット」の量のバランスに注意が必要です。理工系科目では、学習者が「アウトプット」をできるようになる前に、大量の「インプット」が必要な場合が多々あります。大量のインプットを事前学習で行ってもらおうとすると、消化不良を起こしてしまう危険があります。

角田先生の講演で紹介された事例の一つとして、運動方程式の学習があります。事前学習では「X成分の方程式の導出」を学び、教室では「Y成分・Z成分の方程式の導出」をやってもらう、という方式です。これはうまいなと思いました。事前学習の量をある程度絞り込んでおき、そこから直接導ける、つまり比較的ハードルの低いところにグループワークで取り組むわけです。これなら、学習者がスムーズに段階をこなしていけるでしょう。

このような授業デザインを、各回について行っていかなければならないわけです。そうなると、すべての授業回を反転授業方式にするのは、現実的ではないかもしれません。ある単元について数回分通常講義を行い、その後に学習内容を定着させるための反転講義回を設定する、という方がよさそうです。

予習資料をどのように作られているのかも、紹介していただきました。最初の頃は通常授業の録画を編集していたが、その後 Keynote(Mac 専用のプレゼンテーションソフト)による作成に切り替えられたそうです。黒板に文字を書く時間を省略できるため、動画の時間が大幅に短縮できた、とのことです。文書だけではなく動画の方がいい、ただし講師の「顔出し」は必ずしも必要ない、というお話しでした。

反転授業を本格的に取り入れるのはまだ先になりそうですが、今回学んだことを参考に、少しずつ準備はしていこうと思っています。

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