名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ネット授業の同時視聴が失格にされた件2022/02/22(火)

早稲田大学の商学部で、複数の講義のネット授業を同時に視聴していた学生が失格になった、として話題になっています。同じ時間に複数の講義を受講することは、どのような大学でも一切認められていませんから、これは当然の措置でしょう。担当教員からの通知文として報道されている通り、大学での単位認定は、「講義の受講と自習をそれぞれ定められた時間以上行う」ことが前提になっていますから、この前提を満たしていない学生は当然失格になります。これは、履修登録の際に学生に周知されているはずです。

失格は当然という立場に立った上で、教員側がこの件から受け取る教訓はあるのか?という話をしたいと思います。

当該学生は、この講義については「2つ同時に流して見る程度で十分」と認識していたわけです。大学の講義がそのような内容で良いのか?という問題があります。私立大学文系の学費は年間120万円ぐらいです。1年間に受講できる単位数は多くて50単位程度で、講義科目はたいてい1科目2単位ですから、1科目4.8万円の計算になります。1科目は15回の講義を含むので、講義1回分が3.2千円。それだけの価値のあるものを、提供できているのか?ということになります。「2つ同時に流して見る程度で十分」な動画の価値って、どれぐらいでしょう。500円もないんじゃないでしょうか。(自分で特大のブーメランを投げていることは承知で書いています。)

もちろん、「豚に真珠」ということわざがある通り、受け取る側に価値がわからない、という場合もあります。学ぶ内容なんかどうでもよくて、単に「○○大学に通っている」というステータスだけがほしい人だっているでしょう。そういう人は、1科目2単位5万円を124単位分払うだけで、それ以上のことはなるべく省いて、要領よく「大卒」のラベルを得ることを目指しているのでしょう。

しかし、大学は本来そういう場所であってはいけないはずです。「大卒」のラベル、より正確には「学士号」を授与することを国から許可された機関として(国立大学はもちろん、公立・私立大学も文部科学省の認可を受けています)、大学は「価値ある学び」を提供する責任があります。コロナ禍のオンライン講義で「価値ある学び」を提供するのは、非常に難しいことです。だけども、それはやっていかないといけないことです。「ながら視聴」や「早送り視聴」をされるような教材じゃなくて、「わかるまで繰り返し再生してもらえる」教材を目指さないといけません。学生がそれを活用するかどうかは、また別の問題です。

現状、自分の講義はその域には遠く及んでいません。将来そこに到達できるかというと、あまり自信は持てません。でもやっぱり努力はしないといけないし、少しずつでも進んでいきたいと思います。

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