医療の安全に関する研究会
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「医療の安全に関する研究会」ニュース
Newsletter No.26
(2006.10.1発行)
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巻頭言
医療の安全に関する研究会
理事長島田康弘
 今年は梅雨の長雨、それに続いて非常な暑さ、そして秋の長雨が続いておりますが、皆様にはますますお元気でご活躍中のことと存じます。
第11回「医療の安全に関する研究大会」まであと2ヶ月あまりとなりました。抄録ができあがりましたのでお届け致します。今年は12月2日(土)に福岡(九大医学部同窓会館)で開催いたします。本年の研究大会実行委員長は山内桂子理事です。
 大会のテーマは「患者参加の医療安全〜一歩進めるためには、今何が必要だろうか〜」
です。今医療安全には何が必要かについて医療人の間で議論している会は多いのですが、患者様を前面に出して議論する会は少ないのではないでしょうか。プログラムでは、午前中に大会長講演として「医療の安全に患者の参加はどのように役立つか」が行われます。またその前に研究・実践報告や助成研究報告が予定されており盛りだくさんです。それから、かねてより募集しておりました川柳の作品の紹介・表彰が行われます。今回は過去最高の4134通もの応募の中から選出されます。選者は毎回のNHK学園の大木俊秀先生です。皆様楽しみになさってください。
 午後からは吉川肇子先生の特別講演「医療におけるリスクコミュニケーション−患者にリスクをどう伝えるか」と、鮎澤純子先生の基調講演「患者参加の医療安全をどう進めるか」が行われ、続いてシンポジウム「患者参加の医療安全−今、現場では」が2時間にわたり行われます。医療従事者だけでなく、市民の方にも積極的なご参加をお願いします。ぜひ当日の討論の結果を、本会からの提言として発表できるような有意義なものにしたいと考えております。
 今回は博多の地で行われる初めての会として、会の終了後に立ち寄っていただけるようなおいしい店のご案内もあるようです。博多の地で皆様にお会いできることを楽しみにいたしております。


もくじ

      
巻頭言 島田 康弘
大会プログラム
大会長講演要旨 山内 桂子
特別講演要旨 吉川 肇子
基調講演要旨 鮎澤 純子
シンポジウム要旨 朝倉加代子、豊田 郁子、
剣持 邦彦、池永  満
理事会・総会議事録 10
平成18年度役員 11
会計報告 11

 
医療の安全に関する研究会 第11回研究大会
患者参加の医療安全
〜一歩進めるためには、今何が必要だろうか〜


日 時:2006年12月2日(土) 10:00−17:00
場 所:九州大学医学部同窓会館(福岡市東区馬出)
参加費:一般 3,000円 会員 2,000円 学生 1,000円

どなたでも参加できます。郵便振替(口座番号:00870−7−104540 名義:医療の安全に関する研究会)で参加費をお払い込みください。「参加証」をお送りします。当日参加も可能ですが、できるだけ事前申し込みをお願いします。
※ なお、17:30−18:30に同会場にて簡単な懇親会(参加費1500円程度は当日に)を予定しています。振込用紙に懇親会への出欠の有無をお書き添えください。

プログラム

9:30        受付

10:00−11:00 研究・実践報告
(座長)松尾太加志(北九州市立大学)

11:00−11:10 理事長挨拶  島田康弘理事長(名古屋大学)

11:10−11:35 「医療の安全に関する川柳募集」講評と表彰
            大木俊秀(NHK学園)

11:35−12:00 助成研究報告
            酒井順哉(名城大学大学院)

12:00−12:30 大会長講演「医療の安全に患者の参加はどのように役立つか」
            山内桂子(東京海上日動メディカルサービス(株))

<昼食休憩>

13:30−14:15 特別講演「医療におけるリスクコミュニケーション
            −患者にリスクをどう伝えるか」
            吉川肇子(慶應義塾大学)

14:15−14:45 基調講演「患者参加の医療安全をどう進めるか」
            鮎澤純子(九州大学大学院)

14:55−16:50 シンポジウム「患者参加の医療安全−今、現場では」
 (コーディネータ) 鮎澤純子(九州大学大学院)
 (シンポジスト)  朝倉加代子(佐世保中央病院 セイフティマネジャ、看護師)
            豊田郁子(新葛飾病院 セーフティーマネージャー、医療事故被害者家族)
            剣持邦彦(戸畑共立病院 副院長、医師)
            池永満(福岡大学法科大学院、NPO法人患者の権利オンブズマン理事長、弁護士)

16:50−17:00 次期大会長挨拶 加藤良夫(南山大学)

 
大会長講演 要旨
医療の安全に患者の参加はどのように役立つか

医療の安全に関する研究会 理事
東京海上日動メディカルサービス株式会社
山内桂子

 今回の研究大会は、「患者参加の医療安全」をテーマに行うことにしました。近年、日本でも医療安全への患者参加の重要性が唱えられていますが、医療現場での実践はまだ部分的なものにとどまっています。本大会では、その状況を変え、一歩進めるためにどうすればよいのかを考えてみたいと思います。医療安全の患者参加は、医療機関や医療者だけ、あるいは患者や市民だけが頑張って実現できることではなく、双方が協力し合い知恵を出し合ってこそ成り立つものです。医療のさまざまなステークホルダーによって構成される本会だからこそ、患者参加についてより踏み込んだ議論ができるものと期待します。 
さて、患者参加の前提として、患者と医療者の情報共有が必要ですが、現場で情報共有が進まない理由の一つとして、医療者が患者にリスクを伝えることへの躊躇があります。本研究大会の特別講演では、患者にリスクをなぜ伝える必要があるのか、どう伝えればよいのかについて、心理学における「リスクコミュニケーション」研究者である吉川肇子先生に講演していただきます。次に、鮎澤純子先生の基調講演では、アメリカにおける「患者参加」の状況を紹介していただいた上で、広い視点からこれからめざすべき「患者参加」の目的や課題について問題提起していただきます。そして、基調講演をふまえ、さまざまな立場で医療の安全に向き合っておられる4人のシンポジストを迎えて「患者参加の医療安全―今、現場では」と題してシンポジウムをおこないます。患者参加がなぜ難しいのか、今何が必要なのかについて率直に語りあい、一歩進めるための考え方を整理するとともに実践のヒントを探りたいと思います。
私は心理学の視点から医療事故防止や事故後の医療者および患者・家族のサポートについて研究や実践的な活動をしてきました。その中で、「互いの信頼関係の構築のためには、患者と医療者が情報共有することが不可欠である」ことを実感してきましたが、立場の違う患者と医療者との情報共有の難しさも感じてきました。特にネガティブな状況が発生した後になって、伝え合ったり理解し合ったりしようとしてもそれは非常に困難なことです。医療者は前もって説明する労力を、患者はその説明を理解する努力を惜しんではいけないし、医療者と患者の双方に情報を適切に伝えるスキルと読み解くスキルが求められていると思います。
医療者が前もって医療行為について説明することによって、患者は医療行為をモニターしエラーを検出して事故を未然に防ぐ役割を果たすことができます。また医療者にとっても、患者に説明するために情報を整理したり分かりやすい形にしたりすることは、エラー防止や医療者間での情報共有に役立つはずです。そして、患者も医療者も情報を共有することによって目標を共有するチームの一員であるという意識を持つことができると考えられます。あらゆる医療現場で職種や立場によらず誰もが取り組むことが期待される「患者参加」です。しかし、この情報共有を妨げる心理的な壁はまだまだ大きく、これをどう崩していくのかという研究が必要です。
一方で、例えば、患者や事故被害者が事故調査に加わったり医療者への事故防止研修の講師を務めたりという形の「患者参加」があります。これはまだ一部で始まったばかりの取り組みです。どのような方法でどのような点に留意して行えば、患者と医療者の双方にとって有意義で効果的なのか、より多くの人や機関が取り組める「患者参加」となるのかは今後の研究課題でしょう。
この研究大会での議論が、患者と医療者の双方の「患者参加の医療安全」への意欲を高め、広範囲の実践を進めるきっかけになること、また「患者参加」をテーマに研究する研究者を増やすことを期待します。

 
特別講演 要旨
医療におけるリスクコミュニケーション
―患者にリスクをどう伝えるか
慶応義塾大学助教授
吉川肇子

  リスクコミュニケーション(risk communication)は、使われるようになってから20年あまりの歴史の新しいことばである。リスクコミュニケーションという新しい用語が出現したために、リスクについての新しい、あるいは特殊なコミュニケーション手法があると思われているかもしれない。そうではなく、コミュニケーション技術としては、従来からの心理学のコミュニケーション研究の成果がいかせるものである。新しい用語を必要とするのは、新しい「考え方」の浸透をめざすからで、リスクコミュニケーションはリスクについてのたんなる情報伝達技法でもなければ、ましてや一般の人々を納得させるための技術でもないことを強調しておきたい。
医療においても、リスクコミュニケーションは、新しい考え方を示すものとして重視されるようになってきた。その背景には、患者に権限委譲(empowerment)が行われ、また医療の専門家と共同して意思決定にあたることが強調されるようになってきたという変化がある(Berry, 2004)。たとえば、「インフォームドコンセント」は、リスクコミュニケーションが実現した1つのしくみと考えることができるだろう。
もちろん、リスクコミュニケーションという用語が社会的に認知されるようになってきたからといって、またたとえば、医療において、インフォームドコンセントという考え方が浸透してきたからといって、現実にはそうした考え方が十分には実現しているとはいえないこともある。代表的には、リスクについて理解できないのは、あるいはなかなか合意が得られないのは、人々が適切な知識を欠くからであるという、「欠陥モデル(deficit model)」に基づく考え方がある。医療においても、「パターナリズム(paternalism)」として、このような考え方がかつては存在していた。
ところで、社会心理学においては、リスクコミュニケーションということばが使われる以前から、リスクを伝達するためにさまざまな技術が研究されてきた。特に、説得的コミュニケーションの分野の研究成果を利用して、よりよいリスクコミュニケーションが達成されることが目指されている。ただし、「説得的」コミュニケーションであるからといっても、相手の意見を一定の方向に誘導することを目指しているわけではない。リスクコミュニケーションは、一定の方向に相手を説得するものではない。たとえ、医療の専門家から見て妥当な意思決定であっても、患者にとって、それが最良の決定と思われるとは限らない。しかし、同じコミュニケーションをするのであれば、コミュニケーション技術を適切に使ってコミュニケーションをする方が、意思決定する当人にとっても利益になることが多い。特に健康リスクについては、「リスクの回避」という大きなベネフィットがある。本講演では、このような視点に立って、リスクコミュニケーションの技術を医療にどのように生かすことができるのかについて論じる。

文献:
Berry, D. 2004 Risk, communication and health psychology. Berkshire, UK: Open University Press.

  
基調講演 要旨
「患者参加の医療安全」をどう進めるか
−必要なのは「共に創る」という意識改革、そしてめざすのは「患者参加の医療」
九州大学大学大学院助教授
 鮎澤 純子

1.なぜ「患者参加の医療安全」なのだろうか 
 例えば、患者さんから間違いを指摘されること、「ある」どころか「増えてきている」のではないだろうか。特に近年の医療事故の報道、そして医療の現場の安全に関する議論の高まりから、患者さんの「医療事故への関心の度合い」、「注意の度合い」はこれまでの比ではなくなってきている。患者さんであれ誰であれ、「間違い」を見つけることができるのであるならば、どんどん活用していきたい。そして、誤解を恐れずに言えば、共に安全な医療を目指す「医療チームのメンバー」として、見つけることができたことを「よかった!」と共にわかちあえるようにもなっていきたい・・・と思うのだが、いかがだろう。

2.アメリカの取り組みから?「活用されないままになっている重要な資源は患者である」
すでにアメリカでは、「患者参加」は事故防止・安全管理の重要なアプローチとして認識されている。医療事故の現状と対策に関する報告書として1999年に発表され、アメリカにおける医療安全の取り組みのきっかけともなった「To Err is Human」では、「多くの病院、診療所、その他の医療の現場でほとんど活用されないままになっている重要な資源は患者である」として、患者参加の必要性を謳っている。
もちろん、「謳う」だけではなく具体的な取り組みが進んでいる。医療機関の第三者評価機関であるJCAHOは、「Speak Up(質問があったら、気になることがあったら、おかしいと思ったら、声にだそう)」というキャンペーンを展開しているし、連邦機関であるAHRQは、具体的な参加の在り方を示す「医療事故を防ぐための20のヒント」を発表している。
しかし、アメリカにおける患者参加はそれだけにとどまらない。「自らの安全への参加」のみならず、「全体の安全への参加」も進んでいるのである。病院のなかには、患者や家族をそのメンバーに加えた「Patient and Family Advisory Councils」 を設置し、その力を組織的に活用しようとしているところも出てきている。Dana-Faber Cancer Center Instituteでは、「活動を広めるための広報活動」「医療従事者に患者・家族の立場で体験者の声を聴かせることによる教育活動」「治療を受けている患者・家族と会いその声を病院に届ける活動」という3つの委員会がその役割を果たしている。

3.「患者参加」の背景にある「権利と責任の文化」、そして工夫と仕掛け
ただ、アメリカの医療の現場でこうした「患者参加」が具体的にさまざまなかたちで進んでいく背景には、医療の現場にとどまらず、社会が長年積み上げてきた「権利と責任の文化」があるということを、確認しておく必要がある。
そして、その積み上げがあってなお、「Speak Up」というキャンペーンが必要であるように、また「20のヒント」という具体的な参加の在り方の提示が必要であるように、「患者参加」の真の実現に向けては、さまざまな工夫や仕掛けが必要であることを、心に留めておく必要がある。

4.患者さんに転嫁しようとするのもではない、訳も分からず従ってもらうとするものでもない
 日本でも「患者参加」は事故防止・安全管理の重要なアプローチとして認識されつつあり、現場ではすでにいろいろな取り組みが始まっている。誤認防止のために名前を名乗っていただくことも、薬剤事故防止のために一緒に確認していただくことも、「患者参加」のかたちである。だからこそ、あらためて確認しておきたい。
当然のことながら、「患者参加の医療安全」は医療従事者が本来果たさなければならない役割を患者参加の名のもと、患者さんに転嫁しようとするのもではない。また、「とにかく、名前を名乗ってください」と訳も分からず従ってもらうものでもない。何故必要なのか、事故防止につながる理由を理解して、参加していただこうというのである。単に「患者もやる」「一緒にやる」というのではなく、「事故を防ぐ!そのためにこれをやる!」というように明確な意志を持って、参加していただこうというのである。

5.そしてめざすのは「患者参加の医療」
もちろん、「患者参加の医療安全」によって、事故防止に成果を上げる、より安全な医療を実現することは、大事な第一の目的である。ただし、それだけではもったいない。「患者参加の医療安全」は、その先もめざすことができるものであることを意識してかかりたい。
だからこそ、まず必要なのは、「共に安全な医療を目指す」からこその、「共に創る」という意識改革である。「安全な医療を提供するためには・・・」「安全な医療を受けるには・・・」というのはよく使われる表現である。しかし、本来その根底にあるべきは、「提供する」「受ける」といういずれか一方的なものではないはずである。「共に創る」という視点にたつことは、いま患者さんのみならず、医療従事者自身にも必要な意識改革である。
そして、めざすのは「患者参加の医療安全」を通した「患者参加の医療」である。「患者もチームの一員」というのはどういうことなのか。患者自身が意志を持って、「自らの安全への参加」し、「全体の安全への参加」することによって、「患者参加の医療」のかたちが見えてくることになる。そしてその「患者参加の医療」を通して、「安全な医療」、ひいては「医療そのもの」に関する「社会の議論」が深まることもめざせるのではないか・・・ということに気付くとき、「患者参加の医療安全」の取り組みはさまざまな可能性を秘めている取り組みであることにも気付くのである。

  
シンポジウム 要旨1
これまでの患者参加、これからの患者参加
佐世保中央病院安全対策室セイフティマネジャ
朝倉加代子
 
 「患者さんにフルネームで名乗って頂く」、すでにどこの施設でも取り組んでいることです。当院でも「患者参加」として最初にしました。他にも患者さんと一緒に内服薬を確認する方法、透析中に起きたアクシデントを他の患者さんに情報を共有し協力を得たりすることを行ってきました。しかし、これまでの取り組みを今思うと、患者さんの参加のやり方を医療者側の対策方法を一方的に押しつけていると思います、「○○して下さい」「協力して下さい」と言うように。だったらどうしたらよいのか、改めて何ができるかと考えたとき、安全対策を行うやり方の情報の提供から患者さんサイドにやってなかったのではと思いました。そこで、今回当院が採用しようとする患者間違いを防ぐための患者認証システムに関して患者参加の方法を例にとって話してみたいと思います。
 私が思っている医療安全の取り組みは、医療者側がよく言う「チーム医療」の図式を使って現すと病気を患者、患者の家族、医師、看護師・他コメディカルメンバー、医療器機業者が囲む図となります。その周りを施設、関係団体、行政が囲む形となります。それぞれは果たす役割があってそれをみんなで協力し合える事ができれば、医療安全の成果が出るのではないかと思います。
 
 
シンポジウム 要旨2
被害者として、セーフティーマネージャーとして「患者参加」について考えること
新葛飾病院セーフティーマネージャー
豊田郁子

 2003年3月、東京都葛飾区にある東部5区の中核病院で、私は5歳の息子を亡くしました。小児科を中心とする救急外来の充実をうたっていた病院でしたが、担当医の誠意に欠けた対応や誤診と引き継ぎミスにより、息子は入院までしながらその日のうちに亡くなってしまいました。病院側は当初、「診療には最善を尽くした」としていましたが、内部告発によりずさんな診療体制が発覚し、そのことがマス・メディアにより大きく報道されました。
 事故から9ヶ月後、他の医療被害者家族と講演活動を始めるようになりましたが、その中で新葛飾病院院長と出会い、一昨年の10月からセーフティーマネージャーとして病院での医療安全業務に携わっています。
 院内で必要な安全対策を考えるなかで、患者さんはご自身の治療について学習し、知識を持っていただくことが重要と思い、昨年の5月に、患者図書室「からだ学習館」と「患者相談窓口」を設置し、更に今年の3月からは患者参加の充実を図るため「患者支援室」を立ち上げました。
患者参加は、点滴薬剤の確認などだけでなく、私たちのように被害者が再発防止の為に働きかけていく活動や、相談窓口で患者さんから伺うご意見も、私は患者参加の一つの形ではないかと思います。
当日は子どもを医療事故で亡くした母親として、セーフティーマネージャーとしての体験をもとに、私が実際に医療現場に参加して手ごたえを感じたこと、反対に難しいと感じることについてお話し、双方にとってより良い医療が実現できるよう皆さんと考えさせていただきたいと思います。
 
シンポジウム 要旨3
医師・病院管理者の立場からみた医療の患者参加への課題
戸畑共立病院 副院長
 剣持邦彦

  医療安全への患者参加については当施設でも種々の方策を実行していますが、大きな壁に突き当たっています。その主な要因の一つは、色々な意味で患者さんと医療者側の隔たりが大きい事であり、これを埋める作業を行なわないと活動が軌道に乗らないと感じています。そこで問題解決の為に必要と考えている事を挙げてみます。
@ 患者さん側への要望
・ 医療に対する知識の吸収を:今でもおまかせの姿勢の方も多い。
・ 医療の現状に対する正しい理解を:過剰な期待、要求をされる事も多い。
・ 協力して良質の医療を成し遂げようというパートナーシップを:時に最初から不信感を表明する方もおられる。
A 医療者側に求められる事
・ 上記の患者さんへの要望に対する情報提供・協力態勢:医療者が協力しないと成し得ない。特に説明責任を果たす事は最重要。
・ 医療の質そのものを向上させようという不断の努力
・ 意識・行動変革を進める強力なリーダーシップ:ボトムアップだけでは息切れ。
・ 人材とコストの手当て:特定の医療者に負担がかかっており精神力だけでは限界。
・ 医療施設間の協力:全体の水準を上げるためには閉鎖性打破が不可欠。
B その他
・ マスコミの姿勢:問題点の指摘や批判は結構だが、不信を煽る姿勢は捨て、改善を目指す方向に向かうべきでしょう。対立関係からは良い結果は得られません。前向きで良好な患者−医療者関係を構築するために協力して欲しいと思います。
・ 医療政策:最近の医療の進歩に対応するため、医療制度の変革に対応するため現場は疲弊しています。モチベーションを高めるためには、人員の配置、予算など制度面でのサポートが求められます。
我々の現場では、このような問題を改善して行く事がまず必要と考えています。
 
シンポジウム 要旨4
『医療の安全』から『患者の安全(Patient Safety)』へ
NPO法人患者の権利オンズマン理事長
福岡大学法科大学院教授、弁護士
池永 満

1 はじめに
  「医療の質・安全学会」設立シンポに参加して気づいたこと

2 ヒヤリ・ハット事例が医療事故に転化することを防止している大きな力は患者・家族
   危険を察知し、それを回避する能力が一番発揮されるのは、危害が迫っている患者とその親密な観察者

3 インフォームド・コンセント原則を徹底し危険性情報を共有することが医療事故防止の王道
  インフォームド・コンセント原則が医療過程において果たす重要な機能
  リスクを伝えるのは免責のためでなく、リスクに備えリスクの現実化を回避するため

4 発生してしまった医療事故の原因分析においても患者・家族の疑問に応える視点を
  病院における医療事故(死亡事故を含む)の大半は病室で発生している
  「事故から学ぶ」には誰よりも真剣に再発防止を願っている患者・家族の力を借りる

5 おわりに
  「医療の安全」から「患者の安全」への発想の転換、否、原点への回帰を!

 
医療の安全に関する研究会 理事会議事録

日 時 平成18年6月17日 午後1時30分から
場 所 愛知県産業貿易館本館 地下一階第一会議室
出席者 島田康弘理事長 加藤良夫事務局長 
常任理事 斉藤悦子 宮治眞 堤寛 松葉和久 吉田嘉宏 増田聖子
理事   山内桂子 天野ェ 藤原奈佳子
監事   寺町教詞
会員   稲垣克巳
委任状出席 酒井順哉 芦澤直文 池田卓也 篠崎良勝 鈴木俊夫
       出元明美 村松静子 森嶌昭夫 
定足数を充足していることを確認

1 斉藤常任理事から会計報告、承認
2 寺町監事から監査報告 
3 増田常任理事から予算案説明 承認
   講習会などを開いて、収入増をはかること、科研費を利用して研究大会を共催とす  ることなどによって、支出を圧縮することなどについて議論。
4 役員改選
   村松理事からは辞退の意向があったため、村松理事を除いた現理事・監事を、従前とおり選任するとともに、稲垣克巳氏を理事として追加選任する。
   村松理事には、後任の推薦を依頼する。 
5 山内理事からの研究大会の準備状況報告
小講堂は、200名収容
アルバイト代は負担する
出欠の時に、懇親会の出欠も確認する(費用は1500円程度)
   ロビーに展示は可能
   院生が学生かどうは、大会長一任
   川柳は、6月末を締め切りで募集中
   次期大会長について(場所は名古屋)
大会長 加藤事務局長
    議題 医療安全に刑事司法が果たす役割
       医療安全と経済

   次回常任理事会日程
 
医療の安全に関する研究会 総会議事録

日 時 平成18年6月17日 午後2時から
場 所 愛知県産業貿易館本館 地下一階第一会議室
出席者 島田康弘理事長 加藤良夫事務局長 
常任理事 斉藤悦子 宮治眞 堤寛 松葉和久 吉田嘉宏 増田聖子
理事   山内桂子 天野ェ 藤原奈佳子
監事   寺町教詞
会員   稲垣克巳 品田友子 奥休場雅之 酒井俊彰
委任状出席 69名
定足数を充足していることを確認

1〜5 理事会に同じ
6 特別報告
   天野ェ理事より「医療スタッフの性格特性と医療事故発生の因果関係研究」について報告
 
平成18 年度医療の安全に関する研究会役員

理事長         島田康弘  (名古屋大学大学院医学系研究科教授)
常任理事・事務局長 加藤良夫  (南山大学法科大学院教授、弁護士)
常任理事        齋藤悦子  (共立女子短期大学看護学科教授)
              酒井順哉  (名城大学大学院都市情報学研究科教授)
              堤  寛  (藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授)
              増田聖子  (弁護士)
              松葉和久  (名城大学薬学部教授)
              宮治 眞  (名古屋市立大学客員教授)
              吉田嘉宏  (医療を良くする会代表世話人)
理事           芦澤直文  (横浜逓信病院院長)
              天野 ェ  (愛知新城大谷大学社会福祉学部助教授)
              池田卓也  (医療法人生長会常任顧問)
              稲垣克巳  (「克彦の青春を返して」著者)
              品川信良  (弘前大学名誉教授)
              篠崎良勝  (八戸大学人間健康学部講師)
              鈴木俊夫  (鈴木歯科医院院長)
              出元明美  (陣痛促進剤による被害を考える会代表)
              野口 宏  (愛知医科大学教授)
              藤原奈佳子 (名古屋市立大学看護学部助教授)
              森島昭夫  (地球環境戦略研究機関理事長)
              山内桂子  (東京海上日動メディカルサービス株式会社)
監事           多田 元  (南山大学法科大学院教授、弁護士)
              寺町教詞  (東海医療工学専門学校非常勤講師)





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