医療の安全に関する研究会
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「医療の安全に関する研究会」ニュース
Newsletter No.18
(2001.8.15 発行)

巻頭言

残暑お見舞い申し上げます
例年になく暑い夏を迎え、とりわけ、本格的な秋の訪れが待たれます。NewsLetter第18号をお届けします。

本号は、6月に開催されました総会・理事会などの報告と、11月17日に予定されています研究大会のご案内などを掲載しています。
今年の研究大会は、『医療事故がおきたとき〜医療の安全の視点から』をテ−マに、特別講演、シンポジウムなど盛りだくさんの内容で開催されます。相変わらず、医療事故が頻発しています。もちろん、医療事故を起こさないために様々な防止策を取るべきであることはいうまでもありません。しかしながら、不幸にも医療事故が起きてしまったとき、どう対応すべきなのでしょうか。

これまでは、医療事故があっても、ひたすら隠し、闇に葬ろうとする対応が、少なくなかったのではないでしょうか。そうした対応が、医療事故を、いわば、拡大再生産してきてはいないでしょうか。医療事故がおきたときには、必ずその事故の原因を究明し、これを教訓にして同じような事故を再び起こさない対策、この事故をそれ以後の医療の安全にきちんと結び付ける対策が不可欠です。そして、もちろん、患者さん達が受けた被害は確実に早期に救済されなくてはなりません。

そのために、わが国に必要とされるシステムは何なのかを考えたいと思います。本号5頁のご案内をご覧いただけばお分かりの通り、この議論をするに最適任を思われるさまざまなお立ち場の論者に、実にたくさん来ていただけることになりました。時間が不足するのではないかと心配する程です。例年より少し早い11月、横浜での開催です。どうぞ、ご予定ください。

(編集委員会 常任理事 増田聖子)

 
医療の安全に関する研究会理事会議事録

日 時 2001年6月23日(土)午後1時〜午後3時
場 所 名古屋市立大学病院5階会議室
出席者 島田康弘、加藤良夫、齋藤悦子、吉田嘉宏、増田聖子、
     堤 寛、池田卓也、酒井順哉、寺町教詞
委任状出席 松葉和久、芦沢直文、鈴木俊夫、中垣晴男、福間誠之、
        的場梁次、村松静子、森島昭夫、山内隆久
規約規定の定足数を満たしていることを確認した。

1 平成12年度(2000.4.1〜2001.3.31)決算
   齋藤常任理事より、決算報告。寺町監事より報告。
   監査報告書席上回覧のうえ承認。

2 平成13年度(2001.4.1〜2002.3.31)予算案
   齋藤常任理事より、予算案提示。
   第6回研究大会の堤実行委員長からの提案により、安全教育
   分科会からの50万円を研究大会費用(講師料)として雑収入に
   追加し、支出の研究大会費を70万円から120万円に増額して
   修正のうえ承認。

3 分科会報告
   酒井理事から、分科会の活性化のために特別研究費(1研究50
   万円まで計100万円)を創設し、活動の活性化に努めるべきこと、
   ホームページの充実化などについて提案があった。
   特別研究費については、常任理事会での承認によって費用支出
   することとし、常任理事会において特別研究規定を定めることと
   なった。

4 第6回研究大会について
   堤実行委員長から別紙にもとづいて報告。
   別紙の内容で準備を進める。
   講師、シンポジストの謝礼、交通費についての基準作成について
   常任理事会で検討することとなった。
   シンポジウムの司会は、島田理事長、酒井理事も候補として再検討する。

5 第7回研究大会について
   実行委員長酒井理事、場所は名城大学でお願いできないかご検討
   いただくこととする。
(議事録作成者 増田聖子)

 
医療の安全に関する研究会 総会議事録

   日 時 2001年6月23日(土)午後3時〜午後4時
   場 所 名古屋市立大学病院5階会議室
   出 席 者 島田康弘、加藤良夫、齋藤悦子、吉田嘉宏、増田聖子、池田卓也、
    酒井順哉、堤 寛、寺町教詞
   委任状出席 97名
   規約規定の定足数を満たしていることを確認した。


    1 平成12年度(2000.4.1〜2001.3.31)決算
    齋藤常任理事より、決算報告。寺町監事より報告。
     監査報告書席上回覧のうえ承認。

    2 平成13年度(2001.4.1〜2002.3.31)予算案
    齋藤常任理事より、予算案提示、雑収入50万円(安全教育分科会からの収入)を増加し、
      研究大会費を70万円から120万円に増額し、酒井理事から提案のあった特別研究費
      100万円(1研究50万円まで)を支出項目に追加する修正のうえ承認。

    3 分科会報告
    分科会活性化のため特別研究費を創設する。特別研究費については、常任理事会での
      承認によって費用支出することとし、常任理事会において特別研究規定を定めること
      として承認。

    4 第6回研究大会について
    堤実行委員長から別紙にもとづいて報告。
    別紙の内容で準備を進める。
    シンポジウムの司会は、島田理事長、酒井理事も候補として再検討する。

    5 第7回研究大会について
    実行委員長を酒井理事にお願いすることを承認。

(議事録作成者 増田聖子)

 
memento mori(死を想え) 不条理な死
吉田 嘉宏

 昭和20年8月16日未明、三重海軍航空隊予備学生で特攻要員であった森崎湊は航空隊にほど近い香良洲海岸で割腹自決をした。享年21歳。現場は伊勢湾に面した海岸の松原で、周囲の砂を掃き清め、靴の上に帽子、遺書、短刀のサヤをのせて正座し、はじめ指を切って白いハンカチに「一念」の血書をしたためて膝の上にのせ、左腹より右に切り上げたのち頸動脈を切り、左胸部を突き刺して前にうつ伏せに倒れていた。下腹には木綿の白布をしっかり巻き、割腹に使った短刀は自分で引き抜いて前に置き、正座を崩さず、実に見事な自決であった。
 8月15日終戦の詔勅が伝えられたのに対して、あくまで決戦すべしと主張する将校以下数百名の隊員で、三重海軍航空隊は不穏な状況であった。森崎湊は自分が自決することで全部隊の覚醒を促し、戦友諸兄に軽挙妄動をいさめ祖国百年ののちを考え、再起復仇を図ってほしいとの遺書を残していた。部隊は翌17日に森崎の遺書を公開して葬儀を行い、18日より部隊を解散し復員を開始して他に累を及ぼすことはなかった。
森崎 湊が書き残した日記が昭和45年、「遺書」と題して出版され、不思議なご縁で知遇を得た森崎湊の弟で映画監督の森崎 東さんから私はこの本を頂いた。森崎監督は兄湊の死は、敗れた祖国に殉ずる従容たる武人の死というより、むしろとりつくろった美しい言葉で日本中の青春を圧殺しつづけた者たちへの憤激の死ではなかったのか?と問い続けられている。
 私は昭和5年9月生まれで、間もなく71歳になる一市民である。敗戦の時、私は15歳で中学3年生だった。国家総動員令が出され、少年飛行兵への志願者数が学校に割り当てがくる時代であった。「ほしがりません、勝までは」の標語で命までも欲しがってはいけないことと思い込まされ、「お国のために立派に死ぬこと」ばかりを考えていた。敗戦と同時に教科書に墨を塗らされ、すべての価値や人生の目的までが180度変わってしまうという体験をした。この体験が私のすべての原点である。森崎湊の死の意味についても、単なる青春の激情による死と忘れ去ることは私には出来ない。

 戦争こそ最大の不条理。敗戦の苦しい代償を払い、人類恒久の平和を誓って既に55年。平和で経済大国となった日本はまた世界一の長寿国にもなった。この繁栄の礎には幾百万の人の死骸と人柱が埋まっている。しかし、今日尚、毎日マスコミのニュースは事故死、不慮の死、殺人、自殺など不条理な死を報じ続けている。手厚い看護を受けてホスピスで亡くなる死もあれば、計り知れない不条理な死が今もある。人は命を懸けても守るべきものを見失い、かって鴻毛よりも軽いと教えられた命が、今は地球より重いと言われながら、いとも簡単に失われている現状に私は怒りを感じている。
 とりわけ命と直面する医療に於いても、あまりにも無責任で、初歩的なミスで、患者の命が奪われる医療事故が続発している。医療で失われた命、患者の死を痛切に想わざるを得ない。
 ハンセン病患者の強制隔離を放置し続けた国家権力、血友病患者のHIV感染、重大な薬害事件の繰り返しなど、権力による犯罪とも言える死があった。患者を取り違えて手術をしたり、消毒薬を点滴したり、週1回の投与の抗がん剤を毎日投与したりと、言い訳のしようもないミスで起きた患者の死も、隠蔽し、誤魔化し、ウソで固める医療の体質に、残された家族の思いはどのように癒されるのだろうか。医療の密室性、専門性、封建制の壁の前に、医療被害を受けた患者・家族は、どのように立ち向かったらいいのだろうか。
 「医療事故で死ぬことほど不条理な死はありません。その上、事故を隠蔽されることほど人間の尊厳を傷つけられることはありません」と、医療被害者の家族は訴えている。

 私が医療の問題に関わるようになったのは、1981年、人々を慄然とさせた富士見産婦人科事件が契機であった。医療を良くする会を発足し、その後患者の権利法をつくる運動や医療の安全を求める運動に参加を続けてきたが、昨今毎日のように報道される医療事故のニュースに、暗然とした思いと無力感に落ち込んでいる。あの富士見産婦人科事件から20年、健全な女性の臓器を、経済功利が目的の無資格理事の診断に唯々諾々と従って摘出した医師たちは、長い裁判の結果結局不起訴となり、医道審議会もまた、不起訴を理由に審議の対象にもしないで終わった。医療関係者は事件から何も学ばなかったのだろうか。そして今日も又、不条理な死が患者の身に起ころうとしているかもしれないのだ。
 患者は医学に無知だから、命を医師に預けて治療を全てお任せにする時代が長く続いてきた。しかし、患者こそ医療の主人公であって、患者という心と人格を持った人間を単なる医学的対象物の如く扱う医療に、人権意識に目覚めた人々が黙って従っているわけがない。限られた自分の命を、患者自身がどのように生ききるかは、患者自身で決め、選び取るのが当たり前のことである。インフォームド・コンセントと自己決定権が21世紀の医療の原則になるだろう。私達にとって最も大切なことは「個の確立」であり、個の尊厳を尊重する人権意識の向上だと私は思っている。

 
お知らせ

今年度から、医療の安全に関する特別研究を募集し、一研究について、50万円までの特別研究費を当研究会から拠出させていただくこととなりました。
研究が、医療の安全に関する研究であること、研究の成果が、当研究会の会員に還元されることが条件で、次のような研究計画書と予算書を事務局に提出いただき、常任理事会の承認手続きを経て、特別研究費を拠出致します。
今年度は、すでに、在宅用医療機器の添付文書についての研究に、50万円の拠出を承認し執行しております。なお、予算上50万円の特別研究費の拠出が可能ですから、どうぞ、ご応募ください。
 研究計画書記載要領
研究主体、研究目的、研究方法、研究期間、研究結果の会員への還元方法

 
医療の安全に関する研究会 第6回研究大会 予告

テーマ:療事故がおきたとき〜医療の安全の視点から  
日 時:2001年11月17日仕)午前10時より
場 所:はまぎんホール、ヴイアマーレ(地図裏面)
     横浜市西区みなとみらい3−1−1
     (横浜銀行本店ビル1F、はまぎん産業文化振興財団)
     電話:045−225−2173 FAX:045−225−2183
参加費:一般 ¥1,000円  学生 ¥500円
     どなたでも自由に参加でさます。
郵便振替(口座番号00870−7−104540、
名義:医療の安全に関する研究会)にて、参加費をお振り込みください。
追って、参加証をお送りします。当日参加も可能です。

プログラム
 9:30〜        受付開始
10:00〜10:05  開会挨拶   
         島田康弘理事長(名古屋大学医学部麻酔科)

10:05〜10:35  分科会報告  
         司会:斎藤悦子(藤田学園保健衛生大学)
             吉田嘉宏(医療をよくする会)

10:35〜11:00  大会長講演「わが国の医療事故対策の現状と問題点」
         堤 寛(藤田学園保健衛生大学医学部病理学)
         司会:宮治 眞(名古屋市立大学病院医療情報部)
              
11:00〜12:00  特別講演「米国における医療過誤防止への努力」
         李 啓充(ハーバード大学医学部)
         司会:岡崎悦夫(新潟市民病院臨床病理部)
              
  昼食
13:00〜16:50  シンポジウム
         「医療事故をいかに医療の安全に生かすか」
               司会:島田康弘(名古屋大学医学部麻酔科)
                   酒井順哉(名城大学保健医療情報学)
         シンポジスト
         (1)星 北斗(日本医師会常任理事)
         (2)武見敬三(参議院議員)
         (3)三宅祥三(武蔵野日赤病院副院長)
         (4)阿部康一(医療事故市民オンブズマンメデイオ代表)
         (5)田辺 功(朝日新聞東京本社編集員室)
         (6)加藤良夫(愛知大学法学部教授・弁護士)
         指定発言    
         a)今中雄一(日本医療評価機構、京都大学医療経済学)
         b)村田 勝(安田リスクエンジニアリング)
         c)岡崎悦夫(新潟市民病院、臨床病理部長)
         d)柳田邦男(評論家・作家)
         e)富家恵海子(日本リサーチセンター、院内感染著者)
         f)山内隆久(北九州市立大学文学部、人間関係学科)

16:50〜16:55  次期大会長挨拶 
         酒井順哉(名城大学保健医療情報学)

16:55〜17:00  閉会の辞    
         堤  寛(大会実行委員長)

主催  医療の安全に関する研究会
     〒481−0001 名古屋市東区泉一丁目一番35号 
                 ハイエスト久屋6F センター気付
     TEL O52−951−3931 FAX O52−951−3932





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