医療の安全に関する研究会
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「医療の安全に関する研究会」ニュース
Newsletter No.11

                                  
巻頭言
第3回医療の安全に関する研究大会を終えて
実行委員長 土屋 文人

第3回医療の安全に関する研究大会は、昨年12月12日、当研究会発祥の地名古屋を初めて離れ、東京の昭和大学上條講堂で開催されました。今回も従来通り、午前中は分科会討論、午後に特別講演、分科会報告、総合討論という形式で運営されました。

大会当日に「医療用具・ME機器の安全」、「医療の質と評価」、「安全教育」の3分科会討論が開催されました。「医療用具・ME機器の安全」分科会では、機器の添付文書や針刺し事故防止用注射器の安全性等について検討が行われました。「医療の質と評価」分科会では日本医療評価機構から中野夕香里先生をお招きして「医療の質と評価機能評価」についてお話を伺った後、ワークショップ形式で討論が行われました。「安全教育」分科会では同分科会メンバーにより昨年南江堂から出版された「ユニバーサルプレコーション実践マニュアル」を利用してその内容の検討が行われました。

特別講演として、昨年7月に最終報告が出された、総合研究開発機構(NIRA)の「薬害等再発防止システムに関する研究」班の座長で元早稲田大学教授の黒田勲先生により、「医療におけるリスクマネージメント」というタイトルでお話がありました。航空機事故を例に事故の起きる要因等についてお話しされるとともに、「安全」の定義を交えて医療の世界に於ける安全の考え方やリスク管理についてお話しされました。フロアにおられた柳田邦男さんからも追加発言がありました。

各分科会の報告の後の総合討論では活発に討論が行われました。今回は、初めての東京での開催ということで、参加者も約100名と従来に比べて少なかったのですが、黒田先生、柳田さんを交えた総合討論は非常に中身も濃く、時間がたつのを忘れてしまう程であったので、参加された方には満足していただけたのではないかと思っています。なお、大会開催に当たり、昭和大学病院の薬剤部長である村山純一郎先生には様々な面で御尽力いただきましたことを、この紙面をかりまして改めてお礼申し上げたいと思います。

さて次回第4回の研究大会は、場所を大阪に移して、池田卓也さん(医療法人生長会府中病院)を実行委員長として、12月11日(土)に開催される予定です。会員をはじめ、多くの方々が参加され、充実した大会となることを期待いたします。

 
医療の安全に関する研究会 理事会議事録

日 時  1998年12月12日(土)午後0時00分〜午後1時00分
場 所  昭和大学上条講堂4階
出席者  島田康弘、加藤良夫、松葉和久、吉田嘉宏、増田聖子、芦澤直文、
      池田卓也、市村公正、木村繁、高嶋妙子、堤寛、近藤郁男、福間誠之、
      宮治真、渡辺昇、酒井順哉、土屋文人
監事 西 三郎
委任状出席 斉藤悦子、品川信良、出元明美、中垣晴夫、的場梁次、
        村松静子(鈴木紀子代理出席)
理事会開催について定足数を満たしていることを確認した。
 
1 平成10年度(1998・4〜1998・11)会計中間報告(増田常任理事)

2 第4回研究大会について
  1999年12月11日(土) 於 大阪 (現段階では大阪大学コンベン
                    ションセンターが候補)
実行委員長は池田理事ないし的場理事にお願いする。研究大会の開き方(午前中分科会、午後総合討論)を検討する。統一テーマとして在宅看護を掲げて、在宅医療・看護の安全に関する分科会のほか、一般廃棄物、安全教育、ME機器など各分科会がそれぞれにこれに関わる事項を検討してはどうかという  提案あり、常任理事会で検討することとする。

3 次回総会、理事会
  1999年6月12日(土)午後1時〜3時 理事会  於 名古屋市立大
                          学医学部本部4階
  同日引き続き 午後3時〜4時  総会
4 分科会報告
・麻酔の安全に関する分科会(芦澤理事)       
パンフレット作成後小休止状態で、次のテーマを模索中。理事個人としては、麻酔科の医師の存在を市民にアピールするようなパンフレットを作成してはどうかと考えている。

・医療器具・ME機器に関する分科会(池田理事)
添付文書のガイドラインに関する研究は、厚生科学研究に認定され、今後、ますます発展する見込み、専門家のいない機関でのME機器の情報をインターネットで収集する予定。

・薬剤の安全に関する分科会(木村理事)
休止状態にあった。松葉理事、土屋理事と協力の上、今後活動する予定。

・安全教育に関する分科会(堤理事)
南江堂から発行された書籍は、現在第三刷に入った。順調に販売されている。

・医療の質の評価に関する分科会(福間理事)
本日のワークショップでいろいろな議論が出され、これを踏まえて、今後の活動を考慮する。

・在宅医療・看護の安全に関する分科会(鈴木代理)
在宅医療・看護に携わる組織の管理、実践機能の標準案作成に努力している。株式会社セコムの助成金を得られる見込み。

・医療廃棄物の安全に関する分科会(渡辺理事)
11月14日に安全教育の分科会と共に、一般公開シンポジウムを開催した。今後、保健所や県の職員を対象に、研修会を開く予定。

・救急医療の安全に関する分科会(代理加藤事務局長)
11月28日、名古屋で野口理事の講演会を開催した。
   (議事録作成者 増田聖子)

 
第3回医療の安全に関する研究大会のあらまし
医療の安全に関する研究会事務局  黒田 千里

1.分科会討論
午前中は、3分科会に分かれ、それぞれ研究発表を行いました。「医療用具・ME機器の安全に関する分科会」では、針刺し事故を防止する安全装置付き注射器の安全の評価、ME機器添付文書の記載内容の検討等の活動報告、「安全教育に関する分科会」では、昨年発刊した『ユニバーサルプレコーション実践マニュアル―新しい感染予防対策』(江南堂)の改訂版に向けて内容の検討、「医療の質の評価に関する分科会』では、日本医療機能評価機構の方のお話の後ワークショップを行いました。(詳細は以下の分科会討論記載の通りです。)
 
2.特別講演『医療におけるリスクマネージメント』
午後からは、前早稲田大学人間科学部教授黒田勲氏による特別講演が行われました。黒田氏は、政府系シンクタンク、総合研究開発機構(NIRA)で「薬害等再発防止システムに関する研究会」の座長を務められ、昨年薬害の恒久的な再発防止を目指す報告書を提出されました。今回はその時の活動を通して、安全の考え方やリスク管理システム等について話されました。

先ず、事故はなぜ起こるかということで、スイスチーズモデルと航空機事故の例を挙げられました。スイスチーズというのは穴のあいたチーズですが、たまたまその穴がつながって突き抜けることがあります。薬害のように何回も起こるのは、穴がたくさん空いているのではないかという考え方です。したがって、自分のところぐらい穴が空いていてもいいとという考えが問題で、一人一人が穴を小さくする努力が必要になってきます。また航空機事故調査によると、事故は単一の原因で起こるのではなく、その背後にいくつかの事象の連鎖が存在しています。つまり、事故を防ぐにはその連鎖を切らなくてはならないのです。日本では事故が起きると「責任追及」に終始する風潮がありますが、事故の再発防止には「原因追及」が重要であり、そのためには事故に至るプロセスを詳細に検討することが大切であることを指摘されました。

また、「事故は人間と機械、環境、システムとの不適合の結果生じるもの」であるため、人間だけに対策を講じても有効ではなく、事故の背景にある作業行程や納期、組織の持つ雰囲気等にも対策を講じること、つまり体質の改善が必要であると述べられました。産業界では小集団活動やTQCなど、個人単位ではなくチームでの防止策が取られているそうです。そして、「安全とはその社会において許容限度を超えていないと判断された危険性」であると定義した上で、リスクの予防、リスク発生後の被害の限局、被害の救済の3段階にわたるリスク管理の必要性を強調されました。

先のNIRAで、スモン、クロロキン、サリドマイド等薬害の詳細な年表を作成し分析を行ったところ、薬の危険性の情報が軽視されたり無視されたりしていたことが明らかになったそうです。報告書には、リスク管理システム、情報公開、医療の審査システムの民間への移行、医療関係者のあり方・責任の規定の必要性など9つの提言が行われていますが、とりわけ患者中心の医療の視点を盛り込んだ点が画期的だと言うことです。

医療界は産業界に比べ安全対策が30年遅れていると言われています。講演の中で産業界の例として挙げられた、責任の明確化、相互の確実なコミュニケーション、マニュアルの作成、内部監査、エラーの率直な報告とそれを受け入れる開かれた組織の姿勢等といった「安全の文化」の考え方が医療界にも求められています。

3.分科会報告
続いて、当日分科会討論を実施しなかった分科会担当理事から活動状況の報告がありました。(詳細は、当日の理事会議事録をご参照下さい。)

4.総合討論
最後に総合討論が行われ、フロアに用意された2本のマイクには次々と発言者の列ができました。「同僚医師の間違いを指摘しにくい雰囲気がある」「患者と医師との気持ちの齟齬が訴訟を生んでいる」「コミュニケーションの欠如が個人の能力を生かし切れず事故につながっている」といったコミュニケーション技術のトレーニングの重要性を指摘する意見のほか、多くの方々から貴重な発言がなされました。

 
「安全教育に関する分科会」討論
院内感染防止対策:「ユニバーサルプレコーション実践マニュアル.新しい感染予防対策」(南江堂)を材料にして
担当理事   堤 寛

「ユニバーサルプレコーシヨン実践マニュアル.新しい感染予防対策」と題した文字通りの実践マニュアル(A4版、2色刷、138ページ、定価3,800円)が7月20日に南江堂から発刊されて、はや半年が過ぎました。おかげさまで、12月1日には第3刷が発行されました。計算上は、計4,000部以上が世に出回ったことになり、嬉しい限りです。

12月12日(土)に昭和大学(旗の台、東京)で開催された第3回研究大会では、午前中に「安全教育」分科会担当の討論会が開催されました。討論対象は、上記「実践マニュアル」の内容とした。当日は、独断と偏見をもって、以下の点を、主なディスカッションの対象としました。前回のレターと重複しますが、大切なポイントを多く含みますので、あえて再掲載させていただきます。

1)消毒剤の使い方
@ 低リスクの病室の床や壁の消毒は無用(p.13)。消毒剤の噴霧は有害無益。(p.69)
A 「消毒」とは有害微生物の数を少なくすること.つまり、十分な洗浄は高い消毒効果を有している。(p.53)院内で無用な消毒剤の使い方をしていないだろうか。たとえば、外来や病室で不必要にグルタラール溶液(コストもかかり、人体に有害性が高い)を使用していないか?有効な中央材料室システムがあれば、一次消毒は無用。(p.61)
B 感染リネン類は熱湯を用いた洗濯をしているか?原則として消毒剤無用。(p.88)
C 消毒剤の抗微生物スペクトルや適用対象を正しく理解しているか?(p.56)
D 消毒が先か、洗浄が先か?(p.61)

2)手洗いの実践
@ 「一処理一手洗い」の原則(p.25)と「手荒れの防止」(p.82)の両立は難しい課題。病室に流しがない場合、速乾性すり込み式手指消毒剤を利用する(p.27)が、その前に流水で手洗いをしているか?
A 手洗いミスの生じやすい指先、指と指の聞、親指の付け根(p.23)を入念に洗っているか?手首も洗っているか?
B 石けんと流水による手洗いでよい場合と、消毒剤を用いた手洗いを要する場合を区別しているか?(p.25)
C 手袋を使用すべき場合と、手袋が不要の場合を区別しているか?(p.31)手袋をはずした後、手洗いしているか?(p.35)・
D MRSAは鼻前庭部に定着する。病棟では「首から上を決してさわらない」ことを実践しているか?(p.11,P.90)

3)衣服について
@ 半袖の白衣をつけているか?(p.38)
A 医局、談話室、会議室、食堂や院外に出るとき白衣を脱いでいるか?(p.38)
B 病室では指輪や腕時計ははずしているか?ナースウォッチを持っているか?
  (p.23)病室で腕時計をつけている医療者は「私はきちんと手洗いしてません」と宣言していると感じているか?
C ナースキャップをまだつけているか?(p.39)
D プラスチックエプロンは袖なしを使っているか?(p.36)
E 欧米の病院では隔離室・ICUに入室する際に通常マスクをつけない。「重症の患者にとってマスク以上に大切なのは医療者の笑頗である」が考え方の基本(p.81)。
F 排菌性結核症患者のケアに際しては、N95微粒子用マスクを利用しているか?(p.37)

4)感染性廃棄物の適正処理、針刺し事故防止
@ バイオハザードマーク知っているか?(p.111)マニフェストシステムを知っているか?(p.47)
A 感染性廃棄物を正しく分別しているか?(p.46)院外でもゴミ処理に際して針刺し事故が生じうることを意識しているか?(p.48)
B 針捨てボックスを使っているか?(p.98)
C どうしてもリキャップが必要な場合、片手すくい上げ法や固定式リキャップスタンドを利用しているか?(p.100)        
D 不慮の針刺し事故が生じた場合、事故直後の対処法を正しく理解しているか?(p.105)
感染リスクの度合いを正しく理解しているか?

5)安全教育の実施
@ 感染経路別に適切な予防策がとれるよう教育がなされているか?(p.15)
A ユニバーサルプレコーションの考え方を理解しているか?(p.17)
B 手洗いの基本や消毒技法を実習訓練するシステムがあるか?(p.11)
C 院内感染対策チーム(ICT)は機能しているか?リンクナースの必要性を理解しているか?(p8)
D 医療者が健康であることはよい医療サービスの基本。定期健康診断をきちんと受けているか? 
(p.10)
 当日は30人あまりの会員が熱心に討論に参加していただいた。実践マニュアルの販売を兼ねて行ったところ、おかげさまで、30部すべて完売となりました。皆さま、本当にご協力ありがとうございました。

 
「医療の質の評価に関する分科会」討論
担当理事   福間 誠之

第3回医療の安全に関する研究大会は平成10年12月12日東京の昭和大学上条講堂で午前10時より開催され、オリエンテーションのあと3つの会場に別れて分科会が行われた。医療の質の評価に関する分科会では「医療の質とは何であるかを理解し、医療の質の評価に何を期待しているかを明らかにする」ことを目標として開催したところ、約30名の参加者があった。分科会はワークショップ形式をとり最初にワークショップの進め方についての簡単な説明をしてから、日本医療機能評価機構の中野夕香里先生から「医療の質と医療機能評価」についての講演をして頂いた。

評価するということは、何を評価するかが大切で、一方には患者に必要なこと、患者が望むことがあり、他方に医療提供者がある。評価者の視点によって評価は異なり、患者側からみれば患者が満足できるものが求められ、提供者側にとっては最先端の医療技術を提供できることに重点をおくことになる。そこで判断基準・評価尺度が必要になる。それには(1)外的基準:事前のコンセンサスが得られる、(2)内的基準:判断プロセス、(3)統計処理・分析、があるが、それぞれに長所、短所を持っている。評価者の立場によって医療の質の視点が異なることになる。それから医療の特徴として、(1)サービス業としての特徴=生産・販売・消費の同時性、不安定性、不可逆性と(2)医療サービスとしての特徴=専門的判断、予測不能性、不確実性、が挙げられる。現在、日本医療機能評価機構が実施している病院機能評価では病院として持つべき機能をどれくらい持っているかを評価していて、評価基準についての再検討事項のあることを紹介された。参加者は3グループに分かれ、それぞれに司会者と書記を決めて講演を基にして、医療を受ける側として医療の質の評価にどのようなことを期待し、要望するか、ということを話し合ってもらった。グループ討議のあとそれぞれの代表に討議された内容の報告をして頂いたが、それらの意見には次のようなものがあった。

第1グループでは(1)インフオームド・コンセントの重要性を認識し、特に患者の人権尊重を前面にだす必要性が強調され、(2)医師も患者も安全性については一生懸命にやっているのではないか、(3)患者はもっと積極的に医師と対話すべきではないか、(4)色々な情報を院内に掲示して欲しい(米国では手術成績を公表しているそうだ)。第2グループでは(1)患者が求める医療の質の評価に関する情報としては、病院(医師)を選択するための情報、これはインフオームド・コンセントの前提としての情報で、具体的な医療水準ではないか、(2)カルテ、レセプトが開示されたとき、その評価をどうするのか(第3者機関の設置の必要性、病院機構の中に、あるいは社保、国保の支払基金の中に)、(3)研修医の診療への関与などに関しての院内ルールの確立と公開が必要で、これは医療の質の評価に関するものではないか。第3グループは全員が医療関係者であって、医療者側の姿勢として情報が現場ではすどおりであり、卒前教育でレセプターが育っていない、医療提供者の感受性がどれくらい育っているか分からないために評価は一つの働きかけとなる。医療の質への関心をもたせる必要性を広める。(1)看護を患者に問う前に看護はこうですよといえるようになっていく、(2)チーム医療の体制(3)倫理、人権を育てる教育が必要、という報告であった。

グループ発表後の全体討議では医療被害を受けた市民代表から、評価機構からよい病院という認定書を受けたある病院で現実には医療事故を5件も抱えているところがあるが、おかしいのではないかという疑問が出された。現在の評価基準には事故が起こった時の対応システムは調査するが、事故そのものは扱っていなくて、また、認定書は決して良い病院ということは言っていないという説明があった。しかし、認定書が交付されるということは高い評価を受けたという印象を世間に与えることになっているのかも知れない。

十分な討議は出来なかったが、医療の質に関してはそれぞれの立場で異なった基準があり、また、それを評価することは色々な問題があって、分科会としての提言をまとめることの困難さを感じた。

現在、「医療の質研究会」や「病院QCサークル」などで医療の質を向上させるための運動も行われているので、それらに参加して情報を集めて、今後の方向性を模索したいと考える。

 
「医療用具・ME機器の安全分科会」討論
担当理事 池田 卓也

第3回研究大会の分科会討論は、3楷講義室で行われたが、今回初めての参加者も十余名あった。まず分科会オーガナイザーから、8月22日に名大で開催した第4回分科会を含め、本年の分科会活動について経過報告(ニューズレター第10号参照)があり、続いて以下のテーマについて討議が行われた。

1、ME機器添付文書ガイドラインに関する研究     代表:酒井順哉
 当分科会発足時から医療用具の誤使用事故の防止を目的に始められた「ME機器添付文書の評価」が、学会発表や意識調査などを重ねて平成10年度厚生科学研究「医療用具の添付文書の記載要領に関する研究」に発展した。今回初参加の会員の理解も助けるため、まず研究代表者の酒井順哉教授から約40分に亘り経過のサマリと意義について報告・解説が行われた(ニューズレター第10号参照)。
 今後、厚生科学研究では、医療用具の製造・輸入業者の添付文書に対する意識調査、業界各団体の現行ガイドラインの調査を実施し、「ユーザーによるME機器添付文書の評価ガイド」と対比して新しいガイドライン策定を進めるが、当分科会としては更にいっそうユーザーのなまの声から問題点をピックアップして、ガイドラインに反映させるべく活動を進めることになった。
 ここで、新しいガイドライン策定は規制緩和の流れに逆行しないかとの質問の他、細かい説明と読み易さ判り易さの矛盾や、取扱い説明書はユーザーの知識レベルを意識したものであるべき、取扱い説明書の形式・表現に統一がまたは標準化があった方がよい、などの意見が討議された。
 
2.針刺し事故防止器具の評価           代表:大久保 憲
 本研究に関しては、研究担当者が同日名古屋で関連テーマのセミナーを主催するため、今回はこの分科会報告(参照ニューズレター第10号)について参加者の意見を聞くに止めた。
 
3. 医療用具の安全Q&A              代表:池田卓也
 分科会発足当初からのテーマであるが、技術的な問題で進展していない。昨年はパソコン通信の掲示板に案内したが、見る人が限定されるためか効果なかった。今年は10月にナース対象の雑誌案内(ニューズレター第10号参照)を掲載したがやはり反応がないので、11月末にインターネットのホームページに掲載された全国の訪問看護ステーション、在宅介護支援センターのうち、ランダムに選んだアドレス50数ケ所(帯広〜鹿児島)に下記の内容で電子メールでアンケートを送った。
その結果、大会までに電子メールまたはFAXで来た返信は僅か数通ではあるがその内容を紹介した。
1. 在宅医療・介護において、医療や介護用の器械器具から材料に関して
 a・事故を経験(見聞き)したことは全例が(なし)
 b・事故になるかもしれない故障や不具合を経験(見聞き)したことは                      対照的に全例が(ある)
  ・在宅人工呼吸装置の停電時の心配
  ・胃瘻チューブを入れ替え直後のバルン破損(瘻孔が狭いか不良品?)
  ・ある、のみで内容記載はないもの。
2. 質問1.a.かb.の回答が(ある)の場合、その器械・器具の種類は
  ・医療器械と医療器具
3. その器械・器具・材料を、おもに使用するのは
  ・家族(2)、看護職員(1)
4. その事故・故障の原因と考えられるのは次のどれですか、
  ・器具・材料の不良、説明書が分かりにくい、
  ・その他では、ナースのいないとき、勝手に妻が触る。
5. 在宅看護、介護支援に用いている機器・材料について、疑問・質問・ご意見などがあればお書きください。一般的に、または特定の品目についてでも結構です。                   
・使用材料をその都度かかりつけ医から供給することの煩わしさ
  ・故障の原因が分かるような表示の必要(ナース)
 
◎記入者の職種:
       a.看護・保健職、 b.介護・福祉職、 C.医師、 d.検査・治療技術職、
       e.管理・事務職、 f.その他
 今回、回答が非常に少なかったのは、アドレスが地区医師会や病院になっていて、訪問看護ステーション・在宅介護支援センター自体ではないものが多いので、担当者に正しく転送されたかどうか疑わしい。また回答の来たのはすべて数日以内なので、期間が長ければよいというわけではなく、電子メールによるアンケートに対する不審感や戸惑いも関係していると思われた。
 この僅かな回答でも、在宅医療・介護における医療用具の問題点とこの活動の必要性を示唆しており、本研究会がさらに広く知られるようになれば、より多くの情報が寄せられると期待できる。この問題は、平成7年に厚生省の諮問委員会から『医療用具110番』設置の必要性が提案されているが、これまで実現していないし、厚生省が実施するには経費のほかいろいろな問題があると思われるので、いわゆるNPO的活動として地道な呼びかけを根気よく続けて行くことになった。
 
アンケート結果から
編集委員会
 第3回研究大会には104名の方にご参加いただき、30名の方からアンケートにお答えいただき、貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。今後の本会の運営や来年度の研究大会開催に向けて十分参考にさせていただきたいと思います。以下、一部をまとめてご紹介します。

(ご感想、ご意見)
◆病院で行っている感染防止・消毒等が過剰であるとの指摘を受け、環境汚染の問題との矛盾を思い知 らされました。日頃の仕事の中での手洗いの大切さを再認識させられました。(52歳 看護婦)
私服で院内で働くことは、そこの機能や感染源との関連からOKの場所もあると思うが、不潔な環境(H.P)から自宅等へ帰る際にも全く更衣せず、そのままの服装で帰る医療者も多い。白衣が権威の 象徴であることが悪いとも限らず、一人一人の人間の倫理観・人間性であるとは思う。(56歳 看護婦)
◆流れが遅いと感じた。各演者それぞれの発言時間を短縮した方がよいのでは?(26歳 看護婦)
◆おまかせ医療が現状、安全神話はないということを広めていけるよう望みます。(55歳 医療従事者)
◆医師、ナース、一般の人々を交えた意見を言い合える機会があってよかったと思う。(23歳 看護婦)
◆ワークショップは時間不足で不消化。(59歳 看護婦)
◆この研究会は一般の方々にも開かれた会と聞いています。しかし、PRやオープンな雰囲気が足りない と思います。(36歳 看護婦)
◆とても大切なテーマでの研究会であると思います。しかし、地味な感じがしました。患者側の参加が少な いのは日本の医療の現状を表している。(54歳 看護婦)
◆今回、この研究会に参加し、視点の狭さがあったことに驚きました。(46歳 看護婦)
◆総合討論が大変参考になりました。安全という言葉の意味する深み、許容と文化を知る程に、教育の大切さをアピールしていきたいと思いました。(63歳 女性)
◆会員数を増やしたり、また、研究大会への参加者を増やすための方法を検討すべきと考えます。多くの人の意見を集約することで、より良質の医療の提供につながっていくと思います。(40歳 製薬メーカー勤務)
◆ワークショップのあり方を工夫すべき。グループ分け、全員発言を効率よく行うにはKJ法がよいか。(60歳 医師)
◆安全教育は、院内感染ばかりでなく、医薬品を使う際の注意点、治療する際の注意点などを教えてほしい。最近の治療法の情報もとり入れてほしい。学会程かた苦しくなく形式的でないこのような会ができた のは、とてもよいことだと思う。(53歳 薬剤師)
◆発言者の所属(氏名)を明らかにすることは研究会参加者として最低のルールだと思います。記録を是非まとめていただきたいと思います。(継続性と累積性の両面から必要と思いますので) (61歳 大学教員)
◆安全と危険の関連性が分かった。安全の考え方とリスク管理をどうしていったらいいかが黒田先生の話でよく分かった。(40歳 訪問看護婦)
◆参加人数が少なく残念。一般と専門職グループに分けて話し、それで意見交換するという形でもいいときがある思います。(31歳 看護婦)
◆参加者の討論を引出す方向の工夫が欲しい。(57歳 医師)
◆会場がもよりの駅から分かりにくいうえに急坂が苦しかった。講堂が広過ぎて寒かった。分科会は大変期待しましたが、評価機構の人の説明が不明でした。誰のための評価で、その評価の後はどうなるのか等は理解できませんでした。また、ワークショップでの個々の意見が発言者に反映されておらず呆れました。(49歳 会社員)
◆特別講演の安全の考え方…が勉強になりました。できたら時間を多くとっていただけたらと思います。(42歳 看護婦)
◆グループ討論の試みはよかったように思いますが、時間が短く、焦点を絞りきらなかったこと、まとめの段階でやや消化不良で残念。事故の当事者の心を汲み取ってしかも冷静に評価システムをつくっていくことは本当に難しいと思います。(48歳 看護婦)
 
(今後取り上げた方がよいと思うテーマ)
◆訴訟が予想される事故の報告の仕方(カルテに書くのか別の事故報告書かなど)。(26歳 看護婦)
◆研修医の育成と患者の安全確保(73歳 団体職員)
◆震災、災害について(26歳 看護婦、46歳 看護婦)
◆看護による事故、過誤(59歳 看護婦)
◆在宅医療(54歳 看護婦、57歳 医師)
◆通信情報化により個人の安全(プライヴァシー)は守られるか。(46歳 看護婦)
◆安全のためのコスト意識(63歳 女性)
◆薬に関する説明書の効果の調査(同上)
◆介護保険に関する安全の問題(66歳 医師)
◆医療情報の発生・提供(61歳 大学教員)
◆在宅―外来―入院と患者(住民)は移動して医療を受けている状況から、地域ぐるみで安全性を考えていく体制の構築(同上)
◆医療不信、医療過誤、過剰医療(49歳 会社員)
◆医学教育、看護教育の中での安全対策(48歳 看護婦)

 
ご案内

次回総会  1999年6月12日(土) 午後3時から4時
        於 名古屋市立大学医学部本部4階
次回理事会 1999年6月12日(土)  午後1時から3時
        於 名古屋市立大学医学部本部4階
次回研究大会 1999年12月11日(土)  午前9時から
        於 大阪大学コンベンションセンター
 
Newsletter発行予定
第12号 1999年7月15日発行予定 原稿締切  6月20日
第13号 1999年11月15日発行予定 原稿締切10月20日
(研究大会特集号を予定)
第14号 2000年3月15日発行予定 原稿締切 2月20日
Newsletterの原稿を1000字程度を目途にどしどしお寄せ下さい。





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