◆財務三表〜貸借対照表〜◆

貸借対照表には、決算日におけるすべての資産、負債、純資産が記載されています。
貸借対照表は下図のように、大きく左右に区分された様式になっており、左側に資産、右側に負債と純資産が表示されています。会計用語では、左側を借方、右側を貸方と呼びます。




ここでいう資産、負債、純資産とは、次のような意味になります。

資産企業が事業をするのに必要な財産のこと。調達した資金の運用状況を示しています。
負債第三者に対して、将来、返済義務のある債務のこと。資金の調達源泉を示しており、返済義務があることから他人資本とも呼ばれます。
純資産企業が当初に集めた元手と企業がいままで蓄積してきた利益を合わせたもの。資金の調達源泉を示していますが、負債とは異なり、返済義務がないため自己資本とも呼ばれます。


では、ここから資産・負債・純資産について詳しく説明していきます。


◇資産◇
資産は大きく流動資産、固定資産に分けることができ、流動資産とは1年以内に資金化が予定されている資産、固定資産とは1年以内に資金化が予定されていない資産のことをいいます。

   @流動資産:「当座資産」「棚卸資産」「その他流動資産」の3種類に分類できます。
@ 当座資産………… 現金・預金に加えて、受取手形などの売上債権、未収入金など、直ちに現金化することできる資産のこと。
A 棚卸資産………… 商品や製品、販売用の土地、原材料などが該当します。まだ販売にまで至っていないことから、当座資産よりも資金化への道のりは遠いといえます。
B その他流動資産 @,Aに当てはまらないすべての流動資産のことを指します。前渡金や短期貸付金など、お金に対する「権利」という意味で資産に含まれます。

   A固定資産:「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」の3種類に分類できます。
@ 有形固定資産…… 建物や土地、機械および装置、車両など、長期使用することを目的とした設備のことを指し、具体的な形態をもつものをいいます。
A 無形固定資産…… 特許権、商標権などの知的所有権や、借地権などの具体的な形態をもたない、法律上の権利のことを指します。
B 投資その他……… 投資有価証券や、長期貸付金は現金化されるのが1年を超えるため、流動資産とできず、投資その他とされます。

流動資産、固定資産に属さないものを「繰延資産」といい、創立費、開発費、試験研究費などが含まれます。
たとえば、新製品の開発に3,000万円を投入したとすると、この多額の支出が生み出す効果は以後何年にも及ぶと考えられるので、効果が及ぶ期間に振り分けて費用化します。この次期以降に費用化する資金のことを「繰延資産」といいます。



◇負債◇
前述したように、負債は必ず返済しなければならない義務があるため、「他人資本」と呼ばれます。負債も資産と同様に、1年以内に支払期限が到達する流動負債、1年を超えて企業からお金が出ていく固定負債に分類することができます。

   流動負債…主に支払手形、買掛金、短期借入金、未払金、前受金などが含まれます。

   固定負債…流動負債以外の負債のことを指し、社債、長期借入金、引当金などがあります。



◇純資産◇
純資産は、企業が投資家から集めてきた手元と、これまで蓄積してきた利益などから構成されるため、返済の義務がありません。そのため、前述したとおり、「自己資本」とも呼ばれます。そして、純資産は株主資本とそれ以外の項目に分けることができます。

株主資本 株主などのオーナーから直接拠出された元手である資本金・資本剰余金と、これまで稼いできた利益のうち次期以降の事業資本として繰り越される利益剰余金などから構成されます。
それ以外 売買目的でも支配目的でもない有価証券の評価額の変動や為替換算調整などが含まれる評価・換算差額や新株予約権から構成されます。



以上をまとめると、貸借対照表は次の図のような構成になっています。





◆財務三表〜損益計算書〜◆

損益計算書には、一定期間(通常は前の決算日の翌日から決算日までの1年間)における企業の経営成績が記されており、利益の計算は、利益=収益−費用・損失という算式で表されます。

そして、損益計算書では利用する人に都合がいいように、利益の計算プロセスをわかりやすくするため、5種類の段階的な利益を算出することになっています。5つの利益は、それぞれに意味をもっており、その算出方法は以下のとおりです。





◇売上総利益◇
売上高から、仕入原価や製造原価である売上原価を差し引くことで算出され、俗に粗利益とも呼ばれます。
売上原価は、製品や商品にかかったコストのうち売れた分だけで計算されます。計算過程は下の例のようになります。




◇営業利益◇
「売上総利益」から「販売費および一般管理費」を差し引くことで算出する利益です。
「販売費および一般管理費」とは、営業マンの給料など販売にかかるコストである販売費と、事業所の維持などにかかる一般管理費のことで、「販管費」と略されることが多いです。

企業が事業を続けるには、事業運営のためのコストは必要不可欠なため、営業利益は本業からの利益を表しているといえます。




◇経常利益◇
営業利益営業外収益と営業外費用を加減することで算出される利益です。
営業外収益とは、受取利息や受取配当金、有価証券売却益などの営業活動以外の金融上の収益やその他の利益をいいます。同様に、営業外費用とは、支払利息や有価証券売却損など、金融上の費用やその他の費用のことを指します。

現実の企業は、本来の事業以外にさまざまなビジネスを行っていることが一般的です。そして、それらの事業で発生する損益は、毎期継続的に(=経常的に発生するものがあります。よって、営業外損益を加味した経常利益は企業の総合力を反映した利益といえます。




◇税引前当期純利益◇
税引前当期純利益は、経常利益特別利益と特別損失を加減することで算出されます。
特別利益、特別別損失とは、固定資産の売却による損益や風水害、火災など普段では発生しないような損益のことをいいます。固定資産の売却がなぜ特別なのかというと、固定資産は、長く使用することを目的としているため、それを手放すということは経常的ではないとされるからです。

よって、税引前当期純利益が急増減している場合は、会社に何らかの事態が起こったとも考えられます。




◇当期純利益◇
税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税などの税金を差し引いて計算される利益です。株主への配当金は、この当期純利益の中から支払われます。





◆財務三表〜キャッシュフロー計算書〜◆

キャッシュフロー計算書とは、企業の現金や現金同等物(=キャッシュ)が期中の営業活動や財務活動、投資活動によってどのように増減したかを示す計算書です。

損益計算書が示す利益は、会計の処理方法を選択する場面などで、会社側の判断や意思が加わることとなり、表面上の利益をある程度操作することが可能となります。会社側の意思が加わるということは、言い換えれば会社にとって都合のいいようになるということなので、会社の実態が歪められるおそれがあります。また、会計制度が複雑化するにつれて損益計算書上の利益と現実のキャッシュに差が生じるようになりました。

そこで、キャッシュの増減という事実そのものを示すキャッシュフロー計算書では、会社の実態を正確に反映されている点と、損益計算書上の利益との差について有用な情報が得られる点から、投資家を中心に重要視されるようになりました。そこで、日本では2000年3月期以降から上場企業を対象にキャッシュフロー計算書の開示が義務づけられました。
キャッシュフロー計算書の詳しい説明は、キャッシュフロー分析のレポートにその概要が記載されているので、そちらをお読みください。




◇財務三表の相互関係◇

ここまで、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書について説明をしてきましたが、この財務三表は、ただ単に、1年間の取引の結果を三つの表に表しているだけでなく、密接につながっています。
実際に、図と数値を用いてその関係を表してみましょう。



まず、図の損益計算書から、一年間の事業活動によって4,000万円の当期純利益が発生しているとします。

期首(前期末)の貸借対照表と当期末の貸借対照表を比べると4,000万円、つまり当期純利益の分、貸借対照表の貸方(右側)の純資産が増加し、翌年の事業の元手に加えられます。

次に、キャッシュフロー計算書を見てもらうと、損益計算書の「税引前当期純利益」8,000万円が、キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」を計算する出発点になります。また、キャッシュフロー計算書の最終的な数値である「現金及び現金同等物の期末残高」1億円が、期末の貸借対照表の「現金及び現金同等物」と一致します。

損益計算書は利益をどのように獲得したかを示し、キャッシュフロー計算書は利益ではなくキャッシュをどのように獲得したかという情報を示します。よって、図から貸借対照表はそれらの情報をつなぐ役割を果たしており、三つの財務諸表はつながっているといえます。