<欧州の失業率>


1. 欧州債務問題の失業率への影響

欧州経済は2008年のリーマンショックによる落ち込みから緩やかに回復してきていました。

しかし、ギリシャの粉飾が表面化したことで欧州債務問題が顕著化し、景況感の急落や財政健全化に向けての財政引き締め等から需要が減退し、未だに景気失速・停滞が見受けられます。

景気が失速。停滞すると、 @輸出入環境が悪化し貿易収支の伸びが期待できない、Aそれに伴い企業業績の悪化→雇用環境の悪化により消費・企業マインドの低下、B失業率の上昇、消費の鈍化など様々なことが引き起こされます。

共通通貨であるユーロを使っているため、一国の危機が他の国にも広まりました。
今現在、失業率が問題になっており、特に25歳以下の若年層失業率が極めて深刻です。 今回はこれらのことについて掘り下げていこうと思います。







2. ユーロ圏での失業率の現状



(引用:wikipedia)






ユーロ圏主要国を取り上げてみると、底堅く推移しているドイツを除き全ての国で上昇を続けており、フランスでさえも上昇がみられ+10%を超えています。

ギリシャ、スペインでは+25%を超えており、4人に1人は失業しているという計算になります。 最も高い上昇率であるギリシャ、スペインの若年層失業率を見てみると、両国とも50%を超えており、これは2人に1人は失業しているということで、考えられない数字になっています。

ギリシャにいたっては、+60%を超えており、極めて深刻な状況にあると言えます。 ギリシャでは、粉飾が表面化して以降、大幅な緊縮政策を行い雇用情勢の悪化に歯止めのかからない状況が続いています。
また、景気後退を極めているなかで、目立った産業がないギリシャでは雇用創出がままならない状態にあるといえます。

スペインでは、雇用コストが高止まったことから企業が非正規雇用の比率を高め、その結果、景気の悪化に伴い非正規雇用者の失業が増加していること、また2000年代の好況を牽引した建設産業が住宅バブル崩壊と緊縮政策に伴う公共工事の減少で大幅に減少していることが考えられます。

加えて、欧州債務問題が深刻化するなか、スペイン政府はさらなる財政引き締めを余儀なくされているため、公共事業による雇用吸収には期待できません。





3. まとめ

スペインでは財政赤字削減の限定的な緩和を容認されましたが、緊縮政策も継続することになりました。
過度な緊縮による景気悪化懸念は緩和している状況にありますが、先行きは未だ不透明なままです。

景気回復がおぼつかない中で緊縮政策を実行し続けるということは、景気低迷の悪化に拍車をかけ長期化につながる懸念が完全には払拭できません。
そうなると、雇用環境の改善にあまり期待できない状況に陥り、さらに、景気の不透明感を受け企業マインドが冷え込むことも予想され、雇用に影響すると考えます。

IMFとEU、ECBは、ギリシャが今年の財政目標を達成することができれば資金調達コストを引き下げるなどの債務返済に関する支援を行うことに合意しています。

その中でIMFは、ギリシャ経済が支援プログラムの条件で踏みとどまるのを確実にするために、さらなる支援が必要になる可能性を示唆しており、ギリシャは財政赤字に対する一段の対応策と支出削減が求められています。

これらの雇用問題はEU首脳会議でも「深刻な問題」と捉えられており、雇用環境改善に積極的な姿勢をみせています。
特にドイツ、フランス、イタリアは、若年層失業率に関し「我々は恐怖を抱いている若者たちを救済しなくてはいけない。最も良い教育を受けている世代を我々は待機させたままにしており、これは容認できない。」と語られるなど、その積極性がうかがえます。

6月に予定されているEU首脳会議では、若者の雇用が中心テーマになると期待されているため、今後の景気動向を注視するとともに、ECBや欧州委員会などによる政策にも注目するべきと考えます。