為替の変動の要因



@ファンダメンタルズ
 為替の中長期的な変動要因としてあげられるのがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)です。 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は経済成長率や物価指数、国際収支、雇用統計(失業率 )などの経済指標に示されます。 なかでも市場参加者の間では、国際収支や雇用統計(失業率)に注 目があつまります。また、対外バランスや原油価格もファンダメンタルズの要因に含まれます。

A国際収支
 為替の変動要因で最も基本となるのが国際収支です。国際収支は居住者と非居住者の間で取り交わさ れた経済取引を記録(一定期間内)したものです。簡単に説明すると、「外国との経済取引」です。 我が国、日本では財務省の委任を受け、日本銀行が通関統計を基に作成します。発表は、四半期ごとの確報を翌々 月の上旬に、また月次の速報を翌々月上旬に行います。

B注目はやっぱりアメリカの雇用統計
 雇用統計は失業率(Unemployment Rate)と非農業部門就業者数(Nonfarm Payrolls)が、毎月、第1 週目の金曜日に発表されます。ここで発表される数字は前月の統計です。 失業率は失業者を労働者人口 で割ったものをパーセントで表示します。 市場参加者の注目は、非農業部門就業者数(Nonfarm Payrol ls)の数字です。農業は季節労働者を含みますので、その部分を除いた就業者数が示されます。 また、 この数字は給与が支払われた人数をカウントしますので、経営者や自営業者ははぶかれます。 業種別では 、製造業の就業者数が重要とされています。

C為替の変動要因 /市場の需給
 為替の変動要因としてあげられるのが市場の需給です。 需給は国際収支に現れます。しかし、先物での ヘッジ等は国際収支に計上されないため、その正確性を失われました。 国際収支は、経常収支と資本収支 に分けられ、以前は為替の変動要因として、経常収支の中の貿易収支がそれにあたります。

D対内外直接投資
 しかし、最近では貿易収支よりも、どちらかというと対内外直接投資の方が注目されるようになりました 。資本取引は、動く金額が大きいため、為替に与える影響も大きいからです。ちなみに対内外直接投資は、 資本収支に属します。 対外直接投資とは、日本の機関投資家等が行う海外有価証券投資や、日本の製造業 者が海外に工場を移す際に発生する資本移動の記録です。 また対内直接投資とは、外国の企業が日本の企業 を買収したり、日本に進出する際に行った資本移動の記録です。

E通貨政策
 為替の変動要因として最も重要なのが、各国の通貨政策です。特にアメリカの通貨政策は重要です。 我が国の円が1949年に1ドル=360円の単一為替相場が定められて以来、1971年8月のニク ソンショック(308円まで切り上げ)や、1978年10月のカーターショック(180円を割り込む )によりドルが急激に下落する場面がありました。 このような緊急事態になるとアメリカは「ドル防 衛」をせざるを得なくなり、当時のカーター政権は、苦肉の策として、SDR(IMF特別引出権)を売却し、 IMFリザーブ・トラッシュも引き出し、各国とのスワップ網を拡大しました。 結果、1ヶ月後には19 7円までドルは一気に値を戻し、1979年4月には、220円近くまでドルが上昇しました。
 高くなりすぎたドルは、アメリカ国内で貿易赤字の問題を深刻化させました。 そこで、アメリカのベ ーカー財務長官の呼びかけにより、ニューヨークのプラザ・ホテルで5ヶ国蔵相会議(G5)が開かれ、ドル 高是正で合意(プラザ合意)した結果、240円台から1987年の2月には半分の120円にまでドルは 下落しました。

F要人発言は注目される!
 このように、通貨政策の変更は為替相場に大きな影響を与えます。 したがって市場参加者は、各国の 通貨当局者の発言には注目します。 ちょっとしたニュアンスの違いを聞き取ることが、為替相場の転換を しる上で重要であるからです。

G購買力平価説
 為替レートが決定される理論の中に、購買力平価説があります。 昔々、カッセルという人が、為替レー トは2国間の購買力の比率によって決定されるという説を唱えました。これが購買力平価説です。 そもそ も、購買力とは、モノやサービスを買う時の貨幣価値です。貨幣価値は、物価の影響を受けます。 したが って、購買力平価を簡単に言うと、お金の価値を自国の物価と外国の物価を比較して表した貨幣価値とい うことになります。
 外国為替市場で取引される為替レートは、市場の需給の影響を受け変動しますが、購買力平価は、そう いう影響や変動を除き、より経済実態に即した各国の比較ができるとされています。
 問題点は物価を比較する上で、何を基準にするかという点です。消費者物価指数を使った購買力平価と、 輸出物価を使った購買力平価とでは、計算結果に大きな誤差が生じてしまう点です。

Hビックマック平価
 為替の世界では、マクドナルドのハンバーガー(ビックマック)の価格に基づいた購買力平価が話題に上り ます。 世界中で販売されているビックマックは、同一の商品で比較出来ることが特徴です。これをビック マック平価と呼びます。 加工前の農畜産物や人件費、物流コスト等の費用を含んでいるため、物価を比較 する上で優れていると言えるでしょう。

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