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凝集するナノ粒子の表面化学修飾

 ナノ粒子は、適切な表面特性と溶媒の組み合わせにより、溶媒分散が可能である反面、わずかな環境の変化に伴って非常に容易に凝集(沈殿)を起こしてしまうという性質を持っています。このような凝集を起し易いナノ粒子の表面を修飾するための、新しい手法の開発に成功しました。

 凝集ナノ粒子の表面修飾には、BASD (Bead-Assisted Sonic Disintegration, 下右図)という、ナノ材料に対して非常に有効な破砕/解砕方法を用います。まず私たちは、硬質ビーズ存在下で強力な超音波処理を行うと、超音波のみの処理に比べてはるかに強い破砕能力が得られることを明らかにしました。これは、超音波で加速された硬質ビーズ同士の衝突が破砕効果を引き起こすビーズミルに似た現象によると思われ、ビーズミルと同等か、それ以上の破砕能力がこれまでの研究から認められています。特に、非常に簡単な装置で行えるという点でビーズミルと大きく異なっており、ガラス器具を使った溶液化学系に容易に組み込むことができます。これにより、非常に強く結合した凝集体の解砕と、粒子表面の化学修飾を同時に行う、いわばナノ材料のための攪拌子として使えるのです。


scheme    BASD


 







 物質は小さくなるほど比表面積が大きくなる。それに伴い、表面がその物質に与える影響も増大します。ナノ材料においてその特徴が顕著になることから、表面特性制御が非常に重要な課題になってきます。例えば、ナノ粒子からなる精緻な組織体の構築や、ナノ粒子医療材料などのこれまでになかった応用分野の開拓には、適切な粒子表面構造の制御技術が欠かせません。しかしながらナノ粒子は溶媒にほとんど溶解しないため、均一系表面化学を行えるのは、反応を通して分散状態が保たれる稀な場合に限られます。この制約に縛られ、ナノ材料の表面化学は思うような発展につながっていないのです。

 ナノ粒子が溶媒中で凝集体を形成する場合、凝集体の粒子表面は反応試薬にさらされません。一次粒子表面上で万遍なく化学反応を起こすためには、凝集体を一時的にでも壊し、表面を反応試薬に曝露する必要があります。これを可能にするのがBASDです。私たちはBASDを有機化学者たちが使い慣れたガラス器具と組み合わせ、爆発法ナノダイヤモンドの非常に強固な凝集体を解砕し、同時に一次粒子の化学修飾することに成功しました。全く異なる2つの反応系(縮合反応によるシリル化と、ジアゾニウム塩を用いたアリール化)においてその有効性が確認されています。

colloid シリル化したナノダイヤモンド

右からそれぞれ、BASD、ビーズ不添加超音波処理、磁気撹拌処理により反応中に撹拌をおこなった試料。BASDを用いたときにのみ、一次粒子がTHF中に分散するシリル化ナノダイヤモンドコロイドが得られています。

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