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新しいダイヤモンド材料の合成

NDs on HiPco ダイヤモンドは硬く、美しく、非常に高価な物質として知られていますが、実はこのほかにも多くの優れた特性が知られています。例えば熱伝導率は銅よりも 遥かに高く、しかも熱はよく伝えるのに電気は流しません。ここにボロンをドープすると一転して超伝導まで示す導体となります。光学的にも高屈折率を示すだけではなく、窒素をドープすると蛍光を発する材料にも変えられます。しかしながら、物質のチャンピオンとも言うべき様々な長所のほとんどは工業的に利用されていません。合成と加工が難しく、研磨剤や切削剤にしか使えなかったのです。この状況を一変させたのが“ナノダイヤモンド”です。最早、巨大なダイヤモンドを合成したり、使い易い形に切削加工したりする必要はありません。ナノ粒子をそのまま利用したり、ビルディングブロックとしてもっと大きなデバイスを組み上げたりできるようになったのです。水に溶けるようにして薬剤として活用できることも分かってきました。また、量子コンピュータのレジスタとしても最有力候補として注目されています。このように、ナノダイヤモンドの登場によってダイヤモンド材料をめぐる状況は大きく様変わりし、これまでダイヤモンドとはまったく縁のなかった分野まで、応用の可能性が劇的に広がってきています。
 
 機能だけ考えると、ナノダイヤモンドはplasmaカーボンナノチューブにひけを取らない材料です。ところがバラエティーの面では全く比較になりません。今のところ、10nmより小さい粉末状ナノダイヤモンドは、爆薬の爆発によって合成される爆発法(爆轟法)ナノダイヤモンド一種類しか作れないと言えるような状況なのです。私たちはこの状況を打開し、ナノダイヤモンドはナノチューブと並ぶナノテクノロジーの基幹材料として様々な応用へ結び付けたいと考えています。

diamond wire 私たちが合成しようとしているのは、1次元のナノダイヤモンド、つまりダイヤモンドナノワイヤーやナノロッドです。これが世の中に出回れば、カーボンナノチューブやグラフェンに匹敵する衝撃を与えることは間違いないでしょう。実はダイヤモンドナノワイヤーやナノロッドはここ数年わずかながら幾つかの報告 がなされており、合成可能であることが分かってきています。問題は、如何に成長条件を見つけ出すか。常温常圧で準安定相であるダイヤモンドの合成条件は著しく制限されており、しかもさらに異方的成長を促す条件がそこに加わるため、かなりチャレンジングな課題です。その条件をつきとめることが、大量生産へ向けたポイントとなります。ようやくナノワイヤーがわずかながらに生成しているようだというところまで来ました。大量合成を成し遂げ、新しい応用開発へつなげるべく、研究に取り組んでいます。


ナノダイヤモンドの組み立て:ナノ粒子の結合と複合材料化

 大きなダイヤモンドを加工して椅子や机は作れませんが、ナノダイヤモンド粒子であればブロックのように積み上げて椅子や机を作られるかもしれません。ナノダイヤモンドからバルクダイヤモンドを構築できれば、硬くて軽く、透明な材料ができそうです。ダイヤモンドは壊れやすいという一面もありますが、これも粒子間結合をデザインすることで改善できると期待できます。私たちはこういった発想から、ナノダイヤモンドの3次元高分子化と複合材料化という2つの課題に取り組んでいます。

 一つ目の3次元高分子化は、ナノ粒子同士を次々と3次元方向に結合させ、大きな塊にしようというものです。ナノダイヤモンドの一次粒子の表面修飾ができるようになったので(「 ナノ粒子の表面化学修飾」参照)、粒子間に思い通りの化学結合をデザインさせられます。 隙間なく粒子を詰め、粒子間をしっかりと結合 させるのは一朝一夕ではできませんが、様々な発想で着々と進めています。

 ダイヤモンド粒子同士をつなぐときに、間に別の化合物や粒子があると、またダイヤ粒子だけとは異なった性質を示すようになります。これが複合材料です。何と組み合わせるか、どれくらいの比率で組み合わせるかによって、多様な特性が得られるでしょう。例えば、金属は応力が掛かると結晶面でずれるため、酸化物(セラミック)と比べて柔らかくなりますが、ナノダイヤモンドを分散させることで機械強度の向上が期待できます。また、軽元素である炭素からなるため、軽量化というおまけも漏れなくついてきます。炭素ナノチューブを使った同様な試みは多々なされていますが、ナノチューブを分散させるのが非常に難しく、化学修飾によって解決するにも、表面官能基化をすると ナノチューブの構造が壊れて強度が弱くなるという難点があります。ダイヤモンドの場合はsp3結合からなるために官能基化による粒子強度変化は起こらず、複合化させ易い材料なのです。


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