蔵の改修と忌門の修復 スタート @新城市門谷

旧黒谷家住宅は、鳳来寺参道の街並みを形成する重要な建物でもあり、現在は「こども塾」の場として利用されています。その建物群を地域の方々と協働して保存修理し活用することで、地域活性化に繋げます。文化財調査では「忌門」と「蔵」が中でも貴重な文化財と診断されたため、本年はその保存に向けて修復・再生に取り掛かかります。昨年より毎月関連団体が集まる定例会議に参加して、実現にむけて教育家・宮大工など多様な関係者とのやりとりを行っています。

<5月>

修復対象の蔵について、内部の調査を行いました。今後の修復作業や活用のスケジュールを話し合っています。

蔵の実測

蔵内部の調査の様子。構法や破損状態を確認。

旧黒谷住宅にて、定例会を行う。こども塾主催者の中島氏を含め名城大学生田研究室・豊橋技科大学・名古屋工業大学学生とともに議論。

名城大から蔵の内部活用案を説明。

6月>

蔵の内部活用案について、ゼミ生全員が1人1案を持ち寄って、検討しています。他の人の案を覗き込みながら、互いにディスカッションをしています。

6月>

一度、提案をシートにまとめたものです。でも、クライアントとの調整はこれからなのできっと、変わって行くのでしょう。

<7月>

「蔵」の修復・再生に向けて、内部の片付けを行いながら、実測、構法確認を行いました。地下が終わり、一階が半分ほど終わりました。二階への着手と、解体してから捨てるものへの着手が残っています。定例会では宮大工の望月氏と、今後の作業(蔵の修繕、門の復元)にかかる日数を相談させていただきました。具体的なスケジュールの詰めなども学生が中心に多様な関係者とのやりとりを行っています。

蔵の片付け

全貌が明らかになった蔵内部階。ここをどのように活用して行くか、楽しみです。 

<8月>

望月工務店にて、忌門の再建に使用する土壁の土を練る作業を行いました。当日は望月社長のご指導のもと、土壁の伝統的な造りを教えていただくことから始まり、終始楽しく実習させていただきました。学生達は「未経験のことが多く、土を足で踏んだ感触や独特な匂いなどは大変貴重に感じた。」と感想を述べていました。自分たちで土を練ることで学ぶことも多く、知識でしか知らなかったことが実際の体験を経て、より理解を深めることができた様子です。

土壁の伝統的な構法、作り方について説明を受ける。

土練りを体験 

<9月>

9/16と9/17に蔵の改修に向けて、作業を行いました。後の時代に付加された庇が傾き、瓦が崩れ始めているので、手作業で瓦を下ろして解体しました。
初日は瓦下ろし、次に土を崩し、最後に杉皮を剥がすところまで進みました。瓦や土の重さを実感しながら、大変ではあるものの良いチームワークで進めました。
2日目は杉板の取り外しから行いました。新しい材と古い材が混在しており、修復の跡だと考えられます。次に、垂木の取り外しを行いました。次に垂木受け、軒桁の順に解体しました。最後に柱を手で抜きました。この二日間を通して、長年耐えられる構造を生み出した先人たちの知恵を理解できたことと思います。

瓦を外してみると、土の下地が出てくる。

杉皮の防水を剥がして行く。

 

庇が解体された後の蔵の外観。

 

<10月>

蔵の鎧壁の作成に向けて、望月工務店で作業を行いました。

午前中から横板をひたすら切り続け、1面の壁を覆う壁の板をほぼ切り出し終わりました。
午後から、鎧張りをかけていく溝を、鉋で掘って行きました。学生は、鉋を持つのも初めての状態でしたが、緩やかなカーブを描く鎧張りの傾きに合わせて、丁寧に桟を掘る作業を行いました。掘り終わった溝を見て充実感を得た様子です。伝統的工法がプレカットなどの工場加工に置きかわる現代において、改めて手仕事のもつ豊かな表情を実感できた作業でした。

 鎧張りの横板を切り出していく

 丁寧に桟を掘る加工を行う

並んで加工を行う

出来てきた縦桟の掘り

<11月>

11/23に新城市で行われた「もみじ祭り」に合わせて、これまで製作を続けてきた蔵の外壁鎧張りが完成しました。

事前に工務店では、切断した木材に塗装をして乾かし、その後組み立てて行きました。工務店で組み立てたものが現地に運ばれ取り付けられ、とうとう蔵の壁面を修復するに至り、メンバーも感無量であった様子です。「もみじ祭り」では多くの参拝客に修復の過程をパネル展示をして説明しました。

塗装をして乾かす

鎧張り面が修復された蔵